人から見たら欠点でも自分の魅力
大きな耳を持った女優さんのお話です。もうずいぶん前のことだけど、その女優さんのひと言で、若かった私は大切なことに気づかされたと思うのです。
その女優さんは、ドラマの主役に抜擢されて人気があがり、数々のドラマに出演するようになっていった。
目が大きくてボーイッシュ。ぱっと見て「可愛い」「きれい」というより中性的な顔立ち。
その女優さんはすごく大きな耳をしていた。ショートカットだからその大きな耳がよく見えるし、よくめだつ。アンバランスに大きい、その大きな耳をなぜ隠さないのかな、と当時の私は思っていた。
ある日、その女優さんは
「自分のチャームポイントはどこですか?」とインタビューで聞かれた時にこう答えた。
「耳です」
その答えに私はびっくりした。
なぜびっくりしたのか?
私から見ると、その大きい耳はアンバランスで違和感があるのに、本人はそれが魅力だと思っていたから。
私はこう思っていたのだ。
人一倍大きな耳は変わっていて、マイナスポイントだから、髪の毛で隠せば良く見えるのに、と。
「チャームポイントは耳」
堂々と言った彼女のひと言は、(本当は変でしょ、自分でも内心、変だと思っているんだけど・・)みたいな裏の感情はみじんも感じられなかった。本当に魅力だと思っている力強さがあった。
それを聞いたとたん、私の中で変化が起こったようだ。不思議なことに、その女優さんの耳をおかしいくらい大きいと思わなくなった。
気になるところがあると、そこばかりクローズアップされて回りが見えなくなる。全体を見るとそれで完成された形だってわかることがある。
私は彼女のひと言に気づかされた。
「人が見たらどう思うだろう」って人の目を基準にして、自分のことを恥じたり隠したりするのは、自分を否定すること。
自分のどんなところもすべて魅力的で、どんな自分も愛しく思い、大切にすることができれば、他人の目にも魅力的に見えるのだ。
子供の頃、小柄で瘦せていて小さな手をしているのに、指だけは太くて短いのがいやだった。お母さんはスラっとした細くてきれいな指なのに、お父さんの指にそっくり、って嘆いていた。
今、このごっつい指を見つめている。なんの不自由もない。細かいことも力仕事もこなしてくれる頼りになる指。なんともブサかわいくて愛おしい。
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