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ひと夏の思い出2017

5年前の夏、私は新宿の某大型ショッピングセンターのサマーセールの短期バイトをした。期間は5日ほどで、当時の私は本業の派遣を有休で休んで単発で働くほど小金稼ぎに熱心だった。

初日は研修だったが、出勤するとすぐにレジに立たされた。その場にいた店員に簡単なレジの使い方だけ教えられ、即実践。レジ業務は2人組で行うということで、私と同じくその日がバイト初日の高校生とペアになった。「よろしくね」とても可愛らしい女の子であった。1人がレジ打ち、1人が接客と袋詰めというような分担だったと思う。クレジットカードやら某大型ショッピングセンターカードやら銀聯カードやら色々あってややこしく、とても数分の説明で理解できるものではなかった。私は狼狽していたが、その子は同じ条件のはずなのにテキパキとレジ打ちをこなしていた。さらに「これはこうだよ、ここを押すんだよ」と優しく教えてくれた。私がついうっかりお釣りの9000円をお客様に返し忘れた時もすぐ気づいて「お釣り忘れてるよ!」と教えてくれた。

私は「後ろ手を組むな」とか包装の手順がどうとか色々注意されたが、彼女は優秀で何も言われていなかった。休憩の時に話したら、彼女は高3で普段はユニクロでバイトしているらしい。「ユニクロで働いてるからキャッシャーに慣れているんだね」と私は言った。そして自分は普段は経理をしていると嘘をついたような気がする。

研修は終わり、帰る時にセール当日の4日間のシフトが渡された。その子は「同じフロアだよ!よかったね!」と言ってくれた。私は「ご迷惑おかけすると思いますがよろしくお願いします」と言って帰った。

そしてその日一日のことを振り返って、「ごめんなさい、無理そうです」と派遣元に電話した。

当日、優しいあの子は「あ、(察し)」と思ったことだろう。

そんなひと夏の思い出です。そして何より恐ろしいのはこの当時すでに私は30歳だったということとこれをいい思い出として記憶していることです。

#夏の思い出 #仕事について話そう #短期バイト #レジ

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