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#短歌|記念日を詠む(2月)

2/1 テレビ放送記念日
BGMとして流れる深夜バラエティーでつつと流れた泪

2/2 おんぶの日
おぶる子が眠れる頃に祝福のごと赤色になる河川敷

2/3 節分
追い出した鬼がどこかでただいまと言えているならいい偽善でも

2/4 ぷよの日
連鎖して次々消えるぷよぷよを楽しみだった過去と重ねる

2/5 笑顔の日
同性じゃなければ好きになってたとさくらみたいに咲ってみせた

2/6 海苔の日
パリパリを犠牲に浸す家系の海苔が手にする遥かな旨味

2/7 北方領土の日
やさしさで自分の首を絞めている人がいるのだ主張の裏に

2/8 つばきの日
花のまま椿は落ちて死してなお忘却されることを恐れた

2/9 漫画の日
見開きにならないコマの背景を書き込むようにありふれた日々

2/10 ニットの日
矮小なこの存在を着膨れで大きくみせるお守りみたく

2/11 建国記念の日
国という単位によってこの星は切り分けられて日本は珍味

2/12 ダーウィンの日
生物は神が創造したなんて嘘だ 欠陥だらけの僕ら

2/13 NISAの日
いつの日か身を粉にして積み立てた努力が君に還元される

2/14 煮干しの日
生命が凝縮された煮干しから抽出されたしあわせの味

2/15 春一番名附けの日
冬明けに初めて吹いた突風で死にたい春の一部になって

2/16 天気図記念日
曇ってドーナツみたい空洞を埋めるなにかは光ではなく

2/17 天使の囁きの日
あの世とか信じないから極寒の中で天使の囁きを聴く

2/18 冥王星の日
君ならば冥王星の存在を孤立ではなく孤高と呼ぶか

2/19 天地の日
本当に大事なものを見定めて移ろう日々の中心に置く

2/20 アレルギーの日
二回目は致死量になる内面も好きになったら手遅れの恋

2/21 漱石の日
吾輩は猫になりたい人である名前に親の愛を背負った

2/22 猫の日
つらくても猫まんまなら胃に入る愛の形は様々だから

2/23 富士山の日
富士山を借景にしてエディオンの屋上から見る地元のかたち

2/24 鉄道ストの日
たらればは緩やかな自死 行き先を自分で決める線路切替

2/25 夕刊紙の日
休みなく働く父が日曜を知る夕刊が無いと気付いて

2/26 脱出の日
ここじゃないとは言うけれどその場所はあなたの選択の積み重ね

2/27 冬の恋人の日
冷たいと思うぐらいの距離感で愛してくれる人のいた冬

2/28 ビスケットの日
ポケットを叩けば割れるビスケット分け合うことで命を紡ぐ

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