#短歌|記念日を詠む(10月)

※10月4日から短歌を始めましたので10月4日からです。

10/4　天使の日
天使って褒めるけどママ、良い子ならなんで私は産まれ堕ちたの

10/5　レジ袋ゼロデー
会計が終わった後のわずかな間　いまさら袋くれと言えない

10/6　獄中作家の日
考えを形にすれば質量を持って誰かのこころを殴る

10/7　盗難防止の日
軽率に盗んだであろう自転車は僕にとっての相棒だった

10/8　木の日
人に期待をしなくなったから人は温ぬくみを求めて木を欲する

10/9　世界郵便デー
繋がりが簡素になったこの街にポストはとうに置かれていない

10/10　空を見る日
雨の日に空を見上げる意味なんてあるわけがない　だからこそ見る

10/11　「リンゴの唄」の日
戦争がフィクションじみたこの国にリンゴの唄はもう流れない

10/12　豆乳の日
すっぴんを妄信している人たちはきっと調製豆乳が好き

10/13　引っ越しの日
ここじゃない何処かに行くと決めたけど辿り着いたらここになってる

10/14　PTA結成の日
ひたすらに子供を想いモンスターペアレントなる称号を得る

10/15　たすけあいの日
他者に興味を持てなくなった人は自己責任で片付けたがる

10/16　辞書の日
こんなにも生きにくい訳を知りたくて開いた辞書に涙の跡

10/17　貯蓄の日
長い夜、冬眠前のリスみたく越えるための言葉を集める

10/18　ドライバーの日
死に場所を求めて乗り込むタクシーが着いた場所から望む朝焼け

10/19　住育の日
幸福は不幸を築く基礎だから家出ができる不幸を祝え

10/20　世界骨粗鬆症デー
骨粗鬆症　こんなに言いにくいんだから消えろよ、お願いだから

10/21　あかりの日
あかるさに感謝するにはくらやみを知っているのが必須条件

10/22　パラシュートの日
絶望もきみの言葉で救われるゆっくり落ちたら這い上がるだけ

10/23　津軽弁の日
初恋の人と話しているうちに自然と覚えた、この方言も

10/24　文鳥の日
無防備に手に乗る君の小ささが愛しい反面少し怖くて

10/25　世界パスタデー
茹で汁を加えて乳化するように人と人とが分かり合えたら

10/26　柿の日
あの柿もカニを殺した感触が拭えず今日も泣いているかな

10/27　読書の日
本を読む彼に陰キャと飛ぶヤジが彼の世界に入る余地はない

10/28　速記記念日
どうせすぐ雑になると分かってて丁寧に書く最初のページ

10/29　おしぼりの日
おしぼりで手を拭くような温かさ君に求めたそれがよくなかった

10/30　たまごかけごはんの日
たまごかけごはんの白身に境遇を重ねる　冬の就活寒し

10/31　日本茶の日
真夜中のこころを巣食うもやもやを殺せカテキン　緑茶を淹れる

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外村ぽこの歌集｜ぽこまる（外村ぽこ）｜note