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ちょうちょがおばあさんになったお話

幼稚園年長の時のこと。
「はっぴょうかい」が近づいていた。

私はちょうちょの役だ。
お花の役と、ちょうちょの役と、それぞれ4、5人ずつで、
ちょうちょさんは、ギャザーたっぷりの可愛いスカートをはいて、手をヒラヒラさせてながら花の周りを舞う。
手にはウェディングベールのような白い布をつけて。

練習も中盤に入ったころ、きく組のH先生が私を呼んで言った。

「A子ちゃんが、おばあさんの役はみんなに笑われるから嫌だと泣いてるの。育ちゃん代わってくれないかな」と。

え?どういうこと?
もう練習も進んでて、私ちょうちょさんになって踊る予定なのに。

どうして私が他のクラスの『大きなかぶ』の…、
モンペをはいたおばあさんになるの?

今思えばそんな心境だった。

でも、先生がしゃがんで目を合わせ、(そう、H先生は大きな目がいつもウルウルしてる素敵な先生だった)、私の手を両手で包むようにして言うから、

不思議なほどスパッと「いいよ」と言っていた。
ヒラヒラのスカートが履けないのは残念だったけど、おばあさんだって結構いいかも!なんて思ったような気もする。

そして、はっぴょうかいの日。

ヒラヒラのちょうちょさん達が眩しかった。
本当だったら私も、あんな可愛いのやれたのに、と。

おばあさんは茶色いモンペに、頭には手ぬぐいをほおかぶりして、全然かわいくない。


おじいさんが大きなかぶを抜けないからと、おばあさんを呼んだ。

それでも抜けないから、おばあさんは孫娘を呼ぶ。

それでも抜けずに、犬を呼び…

(中略)

最後にネズミさんを呼んできて、みんなで大きなカブを引っ張った。

うんとこしょ、どっこいしょ。
うんとこしょ、どっこいしょ。

すっぽーーん!
みんな尻もちをついて、大きなカブが抜けました。

幼稚園の講堂は、お母さんたちが拍手喝采。
大いにウケました。

おばあさんの役、やってよかった、と思いましたとさ。


ここまで読んでくださってありがとうございます。

あの時の私と同じ5歳児の皆さん(笑)
もし、おばあさんの役をやりたくなかったら、どうしますか?

泣かなくていいんだよ。
「私は、ちょうちょの役をやるので、おばあさんはやりません」って言えばいいよ。

相手のことを尊重しつつ、自分の気持ちや都合を主張することをアサーションと言います。
私(英語のI)を主語にした伝え方をアイメッセージと言い、アサーティブな表現の1つです。

ところで、ちょうちょの役からおばあさんになった育ちゃん5歳。

思った以上にお芝居がうまくいって、見に来た人たちも楽しんでくれました。
そこにもし、秋元康さんがいたら、アイドルになってたかもしれませんね。(ならないけど)

キャリアの8割は、偶然な出来事で決まると言われています。
自分の行動が思わぬ結果につながることを、プランド・ハップンスタンス(計画的偶発性理論)と言います。

プランド・ハップンスタンスが起きるのには、
好奇心
柔軟性
楽観的
持続性
冒険心
この5つの要素が働きます。

ちょうちょさんの役から、クランボルツ先生のお話になってしまいました。
ちょっとこじつけた感じだけど、前向きにいきたいものですね。


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