お墓も自分も磨いちゃう。
20年以上前に、59歳で他界した父のお墓参りに、
半年ぶりに行けた。
中2の息子は、もう僕の実家にはついてこない。
というよりも拒否してる。
僕への反抗だ。
最近は僕も、敢えて彼を誘わない。
僕にも反抗期があったのかもしれないけど、
親に強烈にぶつかった事はない。
逆に親とのコミュニケーションも、
日々大切にしていなかった。
寡黙な父とは、
あまり時間を共有する事はなかった。
母親と言い争ってる時以外は、
父のことが好きだった。
中学卒の機械工で、
お金はなかったが、よく読書をしている人だった。
新聞もニュースもよく見ていた。
髪型も服装も、いつもビシッとしていた。
部屋も庭も、整理が行き届いていた。
贅沢な暮らしは何もなかったけど、
僕は父を尊敬していた。
父の墓石を磨く時、
いつも父の身体を洗ってる、イメージが湧いてくる。
癌で亡くなる直前、自力で入浴はできなくなっていた。
年齢に反し、黒くフサフサとした髪と、
細くなった身体を、洗ってあげた時、
本当に気持ちよさそうだった。
あの時の父のリラックスした顔は、
昨日のことのように覚えている。
だから墓石も、上から順に洗ってあげる。
頭と身体を洗ってあげるように。
その時、父と話をする。
大体自分の家族の相談だ。
笑顔で「大丈夫、なんとかなるよ」と、
毎回言ってくれてる気がする。
僕自身は、遊んでばかりで、
実家を気にする事は少なかった。
今考えても、自分はいい息子ではなかった。
実績も何もないのに、生意気な事ばかり言って。
何もしてあげられなかった。
ん?
僕も、うちの息子と一緒だ⁈
父が笑いながら、僕に教えてくれてる気がした。
お墓を掃除した後は、いつもスッキリする。
ピカピカになって、花とお茶をあげて。
お線香の香りに、包まれる。
心が整う気がする。
息子はお墓参りには来てないけど、
父は僕の家族をいつでも
見守ってくれているのだろう。
うちの息子もいつかは、
僕と同じように、親の思いに気づくのだろうか。
きっと気づくはず。
それまでは、息子に恥じない生き方をしよう。
ささやかな変化であっても、
常に自分を磨いて、成長させていこう。
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