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《個》を《属性》にすり替える人びと(エッセイ)

私は《フェミニスト》ではない ── たぶん。
《頑固ジジイ》 ── かもしれない。
でも、《個》を《属性》にすり替える《すり替えジジイ》ではない

この記事で、具体的に例を挙げる《属性》は《女性》です。
でも同じようなパターンで、特定の《人種》だったり、《国籍》だったりも多く見聞きします。
(国籍・人種に関する以前の記事は、末尾に引用しました)

《個を属性にすり替えジジイ》はおそらく、その集団属性が《ジェンダー》だったり、《人種》だったり、《国籍》だったり、なんであろうと、

自分とは異なる《属性》に含まれる《個》を目撃して、例えその「サンプル数」が「1」であろうとも、《属性全体》を評する
── ジジイなのだろう、と思う。


時間差はあれど、マトモな企業のオフィスから、《喫煙》が締め出された時代があった。
企業により前後はあるけれど、25-30年ぐらい前だったろうか。

煙草は喫煙所でしか吸えなくなった。
それを悲しむ愛煙家はもちろん、たくさんいた。

個人的な話になるけれど、私は30歳ぐらいまで、「時々吸う人」だった。特に、居酒屋で酒が回ると無性に吸いたくなった。実は今も、吸いたくなることがあり、ごく稀に吸う。

けれど、オフィスで煙草を吸うのは非喫煙者に受動喫煙を強要することだ、と考え、オフィスを禁煙にするよう会社に働きかけよう、と労組に提案したことがある。
(他社に先駆け、SONYがオフィス禁煙したころです)

その返答は普通じゃなかった。
「親会社が制度化していないルールの申し入れは難しい」
むしろ、
「親会社が見習うようなルールを先んじて制度化するのは、誇らしいことではないですか?」
そう言ったのだが、入社後5年目ぐらいの若手意見は無視された。

それから10年ほどが経ち、世間の企業の多くがオフィスを禁煙とし、もちろん親会社がオフィスを禁煙にしてから、我々の会社もオフィス内禁煙を決めた。
愛煙家の役員が抵抗し、役員個室は暫定的に例外になったらしいが、となると秘書は受動喫煙となるわけで、これもおかしな話だった。

それはともかく ──

他の企業を定年退職した後、社内便を運ぶ役割で雇用された愛煙家シニア(♂)が、このオフィス禁煙令に怒っていた。
彼のオフィスは総務関連の分室で、彼以外は女子社員が6人ほどいる部屋だった。

彼はその部屋で我慢していた分、社内便を取りに来た「ポスト部屋」で偶然出くわした私に不満をぶちまけた。

「煙草を吸う人間に、吸う権利はないんですかね? 煙草の煙が有害だって、ホントなんですかね?」
彼は私がかつてオフィス禁煙を提案したとはもちろん知らず、それまで比較的フレンドリーに接していたので、気を許して本音を吐いたのかもしれない。

「少なくとも、妊婦の間接喫煙は良くないようですよ」
私が言うと、
「いや、でも、ウチの部署には今いないし……」
反論した。
『今いない』 ── 《一般論》が苦手な人のようだった。
「でもね、女性である限り、誰がいつ妊娠するかわかりませんよ。昨日の夜に実は妊娠しちゃってて、まだ本人も気づいていないかもしれない
私は半分ジョークで言ったのだが、オジサンはなぜか、声を荒げた。

「だいたい、オンナが煙草の煙を嫌がってるって、ホントなんですかね! ワタシャ、この間喫茶店に入ったら、オンナが煙草、スパスパ吸ってましたけどね!」

うーむ。
《すり替えジジイ》の前では「論理」は無力であーる!

そう思い、黙ってその部屋を出た。


国籍や人種に関する問題は、以前書きました:

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