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リモート学会参加はメリットばかり(家で★深読み)

今週、とある学会にリモートで参加しました。
コロナになってから(もちろんその前にフル勤務の仕事をリタイアしたことも大きいのですが)、学会参加はずっとリモートです。

私が関係する学会でリモート聴講のシステムが始まったのは2020年からです。当初はかなり試行錯誤したようですし、発表者側もほとんどリモート参加で戸惑いもあったようです。

学会からアンケートがあった際には、
「コロナが収まった後も、リモート聴講も可能な並列開催として欲しい」
とお願いしました。
おそらくそういう意見が多かったのでしょう、新型コロナウイルス感染症が5類に移行した後も、面着と並行する形でリモートでも参加を受け付けています。

最近では通信上のトラブルもほとんどなく、きわめて円滑に進んでいます。発表者の多くは面着になりましたが、それでもリモート参加形式で発表する人もいます。

今週の会議もZOOM Webinarを利用してのものでしたが、
「これは、コロナ禍によって導入が促進された『進化』のひとつなんだろうな」
と改めて思いました。
もちろん、それ以前から企業間でのリモート会議は行われていましたが、国内学会はこの点、かなり遅れていました。

まずは当然のことですが、現地に行かなくていいので、時間(移動)もコスト(交通費、宿泊費)も節約できます
私のように新幹線のぞみが停車する町に住んでいる者はまだいいのですが、例えば北海道大学の先生が以前、
「国内、どこに行くのもほぼ飛行機なので出張旅費がたいへんです。学生にも発表の機会をあげたいが、なかなか……」
と言っておられました。
こうした『機会の不平等』がなくなることは、地方在住者にとってたいへんメリットが大きいはずです。

次に、瞬時に会場から会場に移動できる、という利点があります。
多くの学会では、複数の会場で同時並行的に講演が進行しています。事前にプログラムを見て、
「A会場でX大学の発表を聴いたら、次はB会場でY会社の発表を聴いて……」
などと計画を立てても、A会場の席から脱出してB会場の席に行きつくためには、移動の時間がかかるだけでなく、周囲に迷惑をかけます。講演途中で席を立ったり、講演途中で席に着くのは、発表者にも失礼です。

3つめに、自宅やオフィスでコーヒーを飲みながら、あるいは軽食をつまみながらリラックスして聴くことができます。ソファに寝そべっていてもOK。トイレだって、自分のタイミングで行ける。
たいていはライトを落として暗くなる実会場とは異なり、明るい部屋の中ではメモも取りやすい
聴きたい発表と発表の間に20分間、まったく興味のない講演があっても、従来は仕方なく会場にいるしかないが、リモートならば、ベランダに出て体操してもいいし、それこそシャワーを浴びてもいい。

では、ディメリットは、といえば、おそらく参加者側からはないはずです。もちろん、会場で発表者をつかまえて細かい質問をする、ということはリモートではできませんが、それをしたい人は面着参加すればいい。
要は『選択肢がある』ということ自体がメリットです。

ディメリットがあるとすれば、主催者側でしょう。
リモートの場合、複数の参加希望者がひとり分の登録費だけを払い、1台のPCモニター前で聴講する、ということが可能になるため、登録人数が減る可能性がある。
しかし一方で、出張旅費がかかるために参加できなかった遠隔地の人が、登録費だけならなんとか、とリモート参加する可能性もある。

私は後者の方が大きいのでは、と思うし、前者によって発表機会がないため出張機会ももらえない学部の卒論生などもモニター越しに学会に(無料で)参加できるならば、それはむしろ、その学会全体にとって、さらには科学技術立国を標榜するこの国全体にとっていいことではないか、と思うのです。

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