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インテリアショールームで《退屈キッズ》とすごした後、大好きなお蕎麦屋に(街で★深読み)

妻がカーテン生地をチェックしに「サンゲツ」に行くけど、アンタどうする? その後「谷屋」でお蕎麦食べてもいいけど、と言うので蕎麦につられついて行った。
名古屋城のすぐ南西、幅下にある名古屋ショールームは2階がカーテン生地、3階が壁紙やカーペットで、これでもかというほどの種類が展示してある。
カーテンなど、ホントにこれ全部作れるの、と疑ってしまうほど種類が多い。

祝日のため、けっこうな賑わいで、家を買う、あるいは建てる世代なのだろう、結婚を控えた雰囲気のカップル、あるいは小学校に上がる前の子供を連れた夫婦が生地を見ている。

ショールームのこじゃれた椅子に、お、これ、いいじゃん、と腰を下ろそうとして、それは展示してあるだけだから座っちゃダメ、と叱られ、ほとんど子供扱いである。

5分ほどで飽きてきたが、まだかまだか、と急かして、だからアンタなんか連れて来たくなかったのよ、と地雷を踏んだ経験は数知れず。
幾多の試練を経てさすがに学習を積んだ猿となり、辺りを見渡せば「キッズコーナー」なる領域がある。

そこは、新居のカーテンや壁紙を見定めようと真剣勝負の親たちとはたもとを分かった「キッズ」が、靴を脱いでゴロゴロ転がりながら玩具で遊んだり、大きめのモニターで子供向きアニメを見ている。
商談を進めるにあたり邪魔になりそうな連中のたまり場にするべく設けられたゾーンのようだ。

(キミたちとボクは同じ境遇らしいね……)

シンパシーを覚えつつも、さすがに靴を脱いで彼らと同じくゴロゴロしていては変質者と疑われかねない。
近くのソファに腰を下ろして子供アニメを堪能する。
主人公の行動に疑問を持ったけれど、3-4歳の幼児に議論を持ちかけるのも怪しまれるな、と自重する。

妻は驚いたことに1時間以上もかけてカーテン布地を吟味したあげく、かといって商談に進むでもなく、お気に入りベスト5ぐらいのサンプルをもらっていた。
こんな熱心な野次馬がひとりでもいたら「サンゲツ」もこのショールームを作った甲斐があるというものだ、と感心したら、何言ってるのよ、みんな私より長くいるわよ、と言われた。
へええ……と「キッズコーナー」で共に過ごした友人たちに、心からの同情を禁じえなかった。

「サンゲツ」の斜め向かいに蕎麦処「谷屋」がある。
父が元気だったころ、月イチぐらいで《とろろ蕎麦》を食べにきたものだが、この日は5年ぶりぐらいになるだろうか。

お昼時は、たいてい4-5組の客が順番を待つ、人気の蕎麦屋である。
熱心なカーテン地研究家のおかげで既に午後1時を回っていたが、それでも4組目の待ち客となった。

この狭い入口の中外に順番待ちの客がいることが多い

待つこと20分ほど、ようやく天井が高く梁が走る古民家風の建物に通された。ここは、元は綿問屋だった建物を改装したものだという。

大きな吹き抜けに梁が走る天井

この店に来ると私も父もたいてい「とろろそば」を頼んだものだ(これが絶品!)。
この日は、湯葉蕎麦(ざるそばに湯葉がついてくる)と一品料理の「万願寺海老射込み揚げ」を頼んだ。
後者は、京野菜の万願寺甘唐辛子に海老のすり身を詰めて天ぷらにしたもので、おそらく食したのは初めてだが、なかなか美味でした。

湯葉蕎麦と「万願寺海老射込み揚げ」(左上)

「キッズコーナー」の同僚たちは待ちくたびれた後、遅い昼ごはんで何を食べるのだろうか?
やはり定番の「お子様ランチ」だろうか?

「谷屋」のざるそばをすすりながら思った:

あーあ、キッズじゃなくて良かった!

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