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晴旅雨筆(エッセイ)

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これまでの人生で書き散らしてきたノートの切れ端をちぎれ絵のように張り付けたエッセイ。本を読み、山に登り、酒を呑み、街を歩く。
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2022年11月の記事一覧

野球小説が面白いアメリカ人クリエイターとシアトル・マリナーズの試合を観戦した話(2/2)

強肩・俊足の女性外野手が実力でマイナー・リーグを這い上がっていく小説「The Ninth Man」の作者Billとシアトルで会い、マリナーズの試合を観に行くことになりました。 「ハーイ!」 ホテルのロビーで手を挙げたのは、がっちりした体格の白人系男性でした。年齢は私とほぼ同じとわかりました。 ふたりでマリナーズの本拠地、SAFECO Fieldに向かいます。 「まず、チケットを手に入れよう」 小雨の降る球場前の道を歩くと、ポケットに手を突っ込んで、 「Ticket……Ti

野球小説が面白いアメリカ人クリエイターとシアトル・マリナーズの試合を観戦した話(1/2)

プロ野球のGMを描いたふたつの小説 ── ひとつはNPBの球団GMに関わるnote内連載小説、もうひとつはMLB球団GMの選手評価法についてのノンフィクション ── を2週間前に記事に上げました。 今回は、舞台がGMのオフィスではなく球場、という意味ではより純粋な「野球小説」、そしてその小説との出会いに関わる個人的エピソードを紹介します。 その小説に出会ったのは、映画化もされたMichael Lewis著「Moneyball」を読んだ時期と重なります。 米国のペンシルベ

ワールドカップで想い出す《引き》の強さ!(エッセイ)

サッカー・ワールドカップが始まりました。 今から20年前、日韓主催大会の年の1月1日、同業他社の先輩研究者から年賀メールを受け取りました。 簡単な挨拶の後に以下のような依頼が: 宛先に私の個人名はなく、メーリングリストでかなり多くの知人に送付していることは明らかでした。 案内されたウェブサイトに行くと、(あまり記憶が定かではないが)誰でもわかる簡単なクイズがあり、希望する試合のチケットを指定するようになっていた。 確実に日本が出場し、相手国も決まっているグループリーグ

「真のアメリカ野球文化はAAA(トリプルA)にこそある」説(エッセイ)

米国から日本のプロ野球に移籍する選手は、なぜか「助っ人」と呼ばれます。 なんだか、黒駒勝蔵との「出入り」をひかえた清水の次郎長が合力を頼んだ「食客」たち ── みたいな《アナクロ臭》がします。 「助っ人」はたいてい、前シーズン、メイジャーリーグ(MLB)か、その下、マイナーリーグの中では一番上位にあたるAAA、このどちらかに所属していた選手です。 「新外国人」として紹介されるスポーツ欄の記事には、 『昨シーズンまで3年間、ヤンキース傘下の3Aでプレイ、ホームラン数は通算64

プレゼントとして買ったのに、結局自分たちで愛用している《猫絵の盃》(エッセイ)

友に贈るつもりで買ったのに、いつの間にか手元に置いてお気に入りとなってしまったものがある。 長女の結婚式&披露宴にも遠くニューハンプシャー州から駆け付けてきてくれた友人がいる。 このアメリカ人夫婦は子供がいないこともあり、猫を何匹も飼っている。 クリスマスカードでも、ちょっとした置物でも、猫がらみのデザインを贈ると、喜んでくれる。 10年ほど前のこと、デパートの催し物として、美術・工芸作家の作品を展示即売する催しがあった。 単なる通りがかりの野次馬として見て回るうち、相当

7年目の浪人生活を送る《長老》は、なんだかうれしそうに「キミ、それは五月病だよ」と言った(エッセイ)

Note記事を読んでいて、インスピレーションが湧いたり、記事関連で想い出したことがあったりしてコメント欄に書き始め、長くなりそう&ほとんど自分の話になりそうな時、コメントよりも記事にしよう、と思うことがあります。 私の好きな作家・螺鈿人形さんの記事(と表現したのは、創作なのか随筆なのか判別し難いことが多いからです ── 判別しなくていいのですが)の中に《五月病》という言葉を見つけました。 「キミ、それは《五月病》だよ」18歳の時、私はそう言われました。 「はあ……」 大

文化祭で必ずウケる《衝立将棋》(noteで文化祭※ゲームコーナー企画参戦)

《衝立将棋》をご存じでしょうか? 2セットの将棋盤の間に対局相手の盤が見えない衝立を置き、1セットの将棋駒の半分 ── つまり自分の駒を自分側の盤に並べ、対局を開始します。 両方の盤を見渡せる位置に《審判》がいます。 こんなセッティングです: 《衝立将棋》では、相手の駒がどこにあるのかわからないまま、自分の駒を動かしていくという、 きわめて『疑心暗鬼!』なゲームです。 ・自分の駒が突然取られたり、 ・突然、王手がかけられて戸惑ったり、 ・飛車や角がまったく動かせなかっ

《個》を《属性》にすり替える人びと(エッセイ)

私は《フェミニスト》ではない ── たぶん。 《頑固ジジイ》 ── かもしれない。 でも、《個》を《属性》にすり替える《すり替えジジイ》ではない。 この記事で、具体的に例を挙げる《属性》は《女性》です。 でも同じようなパターンで、特定の《人種》だったり、《国籍》だったりも多く見聞きします。 (国籍・人種に関する以前の記事は、末尾に引用しました) 《個を属性にすり替えジジイ》はおそらく、その集団属性が《ジェンダー》だったり、《人種》だったり、《国籍》だったり、なんであろうと