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晴旅雨筆(エッセイ)

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これまでの人生で書き散らしてきたノートの切れ端をちぎれ絵のように張り付けたエッセイ。本を読み、山に登り、酒を呑み、街を歩く。
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2022年8月の記事一覧

学生時代に好きだった女性シンガー2人

小説同様、人それぞれ好みがあるので、自分の好きな歌をほかの人におススメすることは基本的にありません。 自分の歌(作詞)を紹介して誰かに曲をつけてもらいたい衝動には時折駆られますが……。 学生時代に好きだった女性シンガーで、半世紀近く経った今も活躍している驚きの二人がいます。 ご存じ、中島みゆきさんとユーミンです。 このふたりにはさすがにデビュー直後から惚れこみましたが、きっと誰でもそうですよね。 ということで、両巨頭は割愛させていただきます。 それほどメジャーではなくても

育ての親は《少年少女世界推理文学全集》

誰にも、《今ここにいる自分》を育ててくれた本があるのだろうと思います。 「本」は「book」でなく「books」;一連の本でしょう。 このところずっと、NHK-BSで《シャーロック・ホームズ》のドラマ・シリーズを見ていました。 シリーズ終了後には、以前のシリーズ、《名探偵ポアロ》が始まりました。 背景となる時代は異なりますが、舞台はともにイギリス、前者はアーサー・コナン・ドイル、後者はアガサ・クリスティーの一連の原作をもとにした推理ドラマです。 どちらも、私が小学校高学

プールサイドで《豊登》

「教室後ろで4の字固め」に続く、 「ああ、やってた、やってた、── バカな男子が」シリーズ 第二弾です。 小学生の頃、プロレスラーの「推し」で一番人気はアントニオ猪木、2に豊登でした。 後に何故か国会議員になった猪木のことは知っていても、豊登を知らない人は多いかもしれません。 豊登は大相撲からプロレスに転身し、力道山亡き後、日本プロレスの2代目社長に就いた人物です。 色黒で筋肉質、1964年にデストロイヤーを破ってWWA世界ヘビー級王座を奪取したくらい強かったのですが、ギ

教室後ろで《4の字固め》(エッセイ)

たまに小学生時代の《流行》を思い出し、 「あの頃、〇〇で✖✖、よくやったなあ」 とつぶやくと、都市と田舎の違いはありますが、ほぼ同時代を生きた同居人が応じる; 「ああ、やってた、やってた、── バカな男子が」 なぜこいつは毎回毎回、形容詞「バカな」を付けなければならないのだ、と顔をしかめるところではありますが、確かにごく一部の男子はこうしたアクティビティーに参加していなかった ──「ドラえもん」でいえば、出木杉くん みたいなのがどのクラスにも2,3人いて、そいつら以外は全員

終戦の日に、鶏肉を口にしなかった祖母を想う(エッセイ)

「これ、鶏肉だろう? わしは食べん!」 祖母は細くむしった茹で笹身を僕の皿に移した。 「おばあちゃん、なんで食べんの? 嫌いなの?」 そう言うと、祖母は、口を堅く閉じ、ぷい、と横を向いた。 どんな部位であれ、いかなる調理法であれ、鶏肉を一切口にしない祖母は、同居の孫にも理由を言わなかった。 しかし、その気配から、好き嫌いなのではなく、何か宗教的な理由なんだろうな、と感じていた。 家には仏壇があり、僕が生まれる4年前に亡くなった祖父の写真の前で、よく手を合わせていた。 夭折

なぜ祖母の「願掛け」は《鶏肉断ち》だったのか?

太平洋戦争中、徴兵にとられた息子(私の伯父)の無事を祈って《鶏肉断ち》で願を掛けた祖母が、戦後、彼が復員した後も神仏との約束を守り、亡くなるまでの35年間、まったく口にしなかったエピソードを記事にしました。 なぜ息子が無事帰還した後も《鶏肉断ち》を続けたのか? noterさまからコメントをいただきました。 ・感謝を忘れることなく、誓約を継続する。 ・願掛けを破って起こるかもしれないことを怖れた。 どちらも当てはまると思います。 加えてもうひとつ、理由としてあるのでは

《洗脳》された? 知らず口ずさむ「ごめんね素直じゃなくて~♪♪」(エッセイ*再勉生活)

会社勤めをしていた30代後半の頃、オフィスから実験室への廊下を歩いていて、ふと気付き、愕然としたことがありました。 ごめんね 素直じゃなくて~♪♪ 夢の中なら 言える~♪♪ 思考回路は ショート寸前~♪♪ 今すぐ 会いたいよ~♪♪ なんと! 歩きながら、知らないうちにTVアニメ「美少女戦士セーラームーン」のテーマ「ムーンライト伝説」を口ずさんでいたのです! 「……おっとっと」 幸い辺りに怪しい人影はなく、私を追い落とそうとする社内敵対勢力に《傍受》されてはいないようでし

アリエルさんに描いていただいた、修飾ゆるキャラ「ウダウダ~うだつ君」をご紹介

岐阜県美濃市に短い旅に出た時、ご当地のゆるキャラ《うだつくん》に会いました。この地で自販機で飲み物を買おうとすれば、《うだつくん》が待ち構えています。 このうだつ君が生まれたいきさつは美濃市観光協会Webページをご覧ください。 「うだつの上がる街」のうだつ(↓)をゆるキャラ化したものですが、もっと「個性」があってもいいのではないか、いつもだるそうに寝そべり、「うだうだ」しているのはどう?と書いたところ…… アリエル画伯が即、描いてくださいました。 すごいです! いや

源頼家に《世襲議員》を想う(エッセイ)

NHK「鎌倉殿の13人」では、頼朝の死後、家督と共に《鎌倉殿》の地位を引き継ぎ、その「実権」を揮いたい頼家とその側近、および頼朝以来の御家人(13人の評定衆)の対立が深刻になってきています。 ここには、いわゆる《世襲》に共通した問題が潜んでいるように思います。 先代の手法や古い価値観と決別し、成功すれば「改革」と呼ばれるであろう新たな施策を実行したい後継者 ── これに対して先代の支持者や時には先代自身が立ち塞がり、大きな路線変更を許さず、自分たちの権益を守ろうとする。