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晴旅雨筆(エッセイ)

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これまでの人生で書き散らしてきたノートの切れ端をちぎれ絵のように張り付けたエッセイ。本を読み、山に登り、酒を呑み、街を歩く。
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2022年4月の記事一覧

ビールを持ってて何が悪い! (エッセイ)

小学生の子供を持つお父さん(お母さんもかな?)にとっては、ちょっと哀しい話になります。 ──《酒》に対する寛容度は育った家庭環境により、かなり異なる。 父は、夏はビール、冬は熱燗、と年中晩酌(昭和の響きがする言葉ですな)を欠かさない人だった。 私も、いつ頃飲み始めたのかは憶えていないが、高校生の頃には自宅でバンド練習や麻雀の卓を囲んでいると、夏なら母がビールを出してくれた(といっても、グラスにひとり1-2杯分程度ですが)。 中には、 「え、えええ? ……いいんですか?」

原稿用紙を買わなくなってから (エッセイ×再勉生活)

今日は、日本語原稿を書くツールの個人史と、《進化》の功罪について書きます。 「原稿用紙を買う男」(↓)で書いたように、学生時代は原稿用紙に鉛筆で文字を書いていました。新人賞などに応募する時は、鉛筆の上からボールペンや万年筆で字をなぞり、消しゴムで鉛筆書きを消し、投稿原稿としていたのです。 懸賞論文の副賞として、「初めてのポータブル日本語ワープロ」と銘打った富士通OASIS Liteをいただいた後も、「液晶画面が1行8文字」という使い勝手の超・悪さから、原稿用紙を手放すこと

伊豆でお花見 (エッセイ)

ぺれぴちさんの「船岡城址公園・お花見記事(↓)」を読み、先週出かけた《伊豆でお花見》写真を挙げてみたくなりました。 伊豆にでかけたのはものすごーく、ひさしぶりです。ひょっとしたら、半世紀ぶり以上かもしれません。 土木技師だった父が東海道新幹線の沼津あたりの現場で働き、続いて東名高速道路の建設に携わっていたこともあり、幼い頃の家族旅行はAlways, 静岡・伊豆・富士山あたりでした。 今回、偶然通りかかってその見事さに感激したのが、4000年前の噴火でできた大室山のふもとに

原稿用紙を買う男 (エッセイ×読書の愉しみ)

「……そういえば、本で読んだのか、テレビかラジオのドラマだったのか憶えていないんだけど、たしか『原稿用紙を買う男』というタイトルだった」  酒を呑みながら友人が話し始めたのは、私が自分の創作に触れたタイミングだったかもしれない。大学3年ぐらいだったと思う。 「……主人公は作家志望なんだ。でも、結局何も書けないまま、くたびれたサラリーマンになっている。もう40をいくつか過ぎて、……もちろん、ひとり暮らしだ」 「ふうん……なんか」  ── なにか、自分の将来を暗示しているような

「《人格》は高校1年の終わりにはほぼ固まっている」説 (エッセイ)

人は、といっても現代の日本では、という限定条件がつきますが、《人格》がある程度固まるのはいつでしょうか。 60代noter《がんち父》さんの記事「馬が合うとか合わぬとか」で、著者は、高校時代から気の合う間柄だったメンバーそれぞれが持つ "風味" は今も変わらない、と書いています。 もちろん個人差はあるでしょうが、 「高校までで "人格形成" は概ね完了」 に異議ありません。 ── では、《概ね完了》するのは、高校3年間のいつ頃でしょうか? 高校のクラス会は卒業クラスの

女子高生の「あったらいいな」は20年後に大学の先生が「叶えてくれた」(エッセイ)

一昨日の日経電子版に、次のような次世代技術が紹介されていました。 《テレビの前で試食も 明大、味がわかるディスプレー開発》 要は、テレビで見ている食品の味を、基本とする10種類の味を組み合わせて再現する装置を開発した、というニュースです。 この記事を読んで、ちょうど20年前、2002年の7月に提出された、ある高校生の提出レポートを想い出しました。 このレポートは発想がユニークなだけでなく、その《発明》を描いたイラストも《簡明ながら秀逸》であったので、コピーに残しておいたので

エイプリル・フールの想い出 (エッセイ)

本日4月1日が一応、結婚記念日になります。 一応、というのは、入籍は前日の3月31日なので。 フライングの理由は既に書きました(↓)が、その日まで妻が所属する共済組合から、結婚祝い金(5千円程度の大金!と記憶)をゲットするためです。 かなり個人的な話で恐縮ですが、「エイプリル・フールの与太話」とでも読んでいただければさいわいです(……史実ですが)。 私は子供の頃から叔父叔母や従兄姉の《結婚披露宴》に出席するたびに、 「自分はこういうことはしない。こんな金があったら《旅》を