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吾輩はエディンバラを彷徨う鼻紙である。

しばらくは旅日記として書いていくつもりではいるのですが、なんとなく、だんだんと、オートエスノグラフィちっくな書き物になって行きそうな予感がしています。色々ありつつも、私にとってはかれこれ5年以上もしつこく追いかけて、探究し続けている腐れ縁のような存在なので、仕方のないことなのだろうと思います。なんというか、茶道とか剣道、とかみたいに、オートエスノグラフィー道、みたいなものが私の中に染み付いてしまっているのでしょう。

そんなわけで旅日記です笑。
現在、スコットランドに滞在しています。先日はエディンバラに行ってきました。エディンバラには、オートエスノグラフィー関連の研究をしている先生がいらっしゃるというお話を聞いていたので、お会いしてお話を伺えたら、、と思っていたのですが、どうやら予定が合わなかったらしく、お会いすることはできませんでした。大学の先生方が忙しいのは、日本もイギリスも同様らしく。大変だなあ、、と思います。

話は変わりますが、この旅日記、、もとい、noteの初めの記事は、「ロンドンで倫敦塔を読んでいる」というタイトルだったのですが、(まあ、今はロンドンにはいないし、「倫敦塔」も読みかけで止まっちゃっているのですが)、今ふと、「倫敦塔」の冒頭部分を思い出しました。ので引用します。

行ったのは着後間もないうちの事である。その頃は方角もよく分からんし、地理などは固より知らん。まるで御殿場の兎が急に日本橋の真中へ抛り出されたような心持であった。
・・・中略・・・
しかも余は他の日本人の如く紹介状を持って世話になりに行く宛もなく、又在留の旧知とては無論ない身の上であるから、恐々ながら一枚の地図を案内として毎日見物の為め若しくは用達の為出あるかなければならなかった。

夏目漱石『倫敦塔・幻影の盾』新潮文庫版

分かる。。
いや、、全て分かる、ということはできないけれど。

私はイギリスに知り合いがいないわけではなく、(むしろスコットランドまで車で連れてきてくれるような、、頼れる先生方がいらっしゃるわけで、、)、この後も、何人かの知り合いの方々にアポイントはとってあるわけで、予定通りに待ち合わせ場所に辿り着ければ旅程としては心配ないわけなのですが、それでも、完璧なネイティブイングリッシュからは程遠い、中途半端な語学力。私自身がもっている頼れるものはそれしかないわけです。あとは一枚のキャッシュカード。それだけです。

大学の教員という身分があるわけでもなく、日本で著名な作家であるとか、どこかの企業の社員であるとか、、そういう社会的、組織的な後ろ盾が何もない、ただの主婦学生です。
そんな何もない主婦学生が、ほぼほぼ身一つで海外に滞在する、、というのは、、なんとも、風に吹かれて彷徨うティッシュペーパーの切れ端みたいな気分では、、あります。
なんとも、、心許ないものです。

まあ、考えようによっては、ティッシュペーパーというのは、、身軽ではある。


水に溶けるタイプの方が海外旅行に持っていくには便利ですね。水に溶けるタイプがいいな。あと、ちょっと綺麗なケースに入っていたいかな笑。カバンの底にくちゃくちゃになってたティッシュは嫌だなあ。。ティッシュペーパーは綺麗に持ち歩きたいものです。

吾輩は鼻紙である。名前はまだない。

、、そんなことはないです。キャッシュカードにもパスポートにも名前はあります。それに全然一人ではない。全然違うのです。本当は。でも、そういう気分になる。
、、時もある。
それは、とても大事なことだろうと思うのです。よく分かりませんが。

、、というわけで、何かというと、エディンバラに行ったけど、先生には会えなかった、という旅日記です。
で、代わりにどうしたかというと、せっかくなので、エディンバラ城を見てきました。

なんか、ガイドブック、、というか、ガイド系のHPを見た感じでは、ハリーポッターのモデルになった、とかいう、、情報を見たような気がしていたので、ホグワーツのような場所を想像して行ったのですが、、だいぶ違いました。

「城」というと、勉強不足の私は、ディズニーのシンデレラ城とか、カリオストロの城とか。そんなイメージをもっていたのですが、どうやらそれは間違いで、「城」というのは、そもそも闘いのためにあるものなのですね。。
確かに、日本の「城」も元は「山城」のような、要は要塞だったわけだし、お城の中に戦いに参加しない人々が住むようになったのは、中世以後?(かなり不確実な情報です)のことなわけですね。

エディンバラ城は、いわゆる山城、要塞的な城でした。大きな大砲や、捕虜のためのprisonがあったり。そもそも、古代ローマ帝国の侵略からスコットランドの土着の王国を守るための城として築かれたようです。

イギリスというのは、日本にいるとなんとなく、全てひっくるめて「イギリス」と呼んで、イングランドもウェールズもスコットランドもアイルランドも、ごちゃ混ぜにして「イギリス」だと思っているふしがありますが、実際に住んでいる方々、特にイングランド以外のところに住んでいる方々にとっては、その認識はひどく暴力的なまとめ方のようです。

常に他国からの侵略から「自分たち」の国を守ってきた、その闘いの歴史の象徴が、堅牢な石の城、エディンバラ城であるようです。
そしてその他国による侵略と、多民族との共存との闘い(葛藤)は、過去のことでなく現在進行形の問題として、「イギリス人」のナショナリティ、メンタリティの根底にあるような。。そんな気がします。

まあ、ある意味、吾輩は鼻紙なので笑。
ふわふわと、名無しのままに彷徨ってみようと思います。

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