寂しいって思う、その気持ちさえも
私は、忘れるのが怖い。
今見ているもの、感じたこと、鮮明な色だったものがセピア色になっちゃうのが、いつか消えちゃうかもしれないのが怖い。
どんなに素敵な時間でも、一度終わって仕舞えば思い出に変わって、段々と記憶は薄れていく。できるだけ忘れたくなくて、写真を撮ったり日記をつけたり、思い出すための取っ手を残しておいてみるけれど。そんな風にして抗ってもやっぱり、思い出に変わることは避けられない。なんだかそれが怖くて、勿体ない気がして寂しい。
「寂しくさせてくれてありがとう」
この前聞いてハッとした言葉。
思い出にするのが惜しいと思えるほどの時間を過ごせるって、実はかなり素敵なことだってこと、私はあんまり気が付けてなかったかもしれないと思った。
後で寂しくなれるように、精いっぱい今と向き合うべきなのかもしれない。たとえ思い出になっても、目に見えなくなっても、その時間を過ごした事実は消えないから。
寂しくさせてくれてありがとうって伝えられるようになりたいし、寂しくさせられる人になりたい、その寂しさを上回る何かで包み込める人になりたい。
そうやって、寂しいって思う気持ちさえも抱きしめられたらいいな。
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