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【10秒で読める小説】君にあげるよ、冠位十二階

「妹子」
呼び掛けられて振り向くと、十人の注文も一度に聞き取れる鬼才の聖徳店長だった。
バイトみんなに慕われているし、僕も憧れている。

「店長、どうかしまし…」

店長は言葉を待たず、おもむろに僕の頭にキャップを被せた。
「何ですか、もう」
キャップを取ってその深い紫色を見た僕は、息を飲んだ。
「まさか、僕が大徳? 店長…」
「太子でいい」

店長の頬に赤みが差す。

「俺の一番になってくれ」

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