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【10秒で読める小説】一緒にいたいから

病魔は妻の命を奪い去ろうとしていた。
「何でも言ってくれ。僕が叶えてみせるから」
「いえ、いいのよ」
「頼む、言ってくれよ」

二十年前、彼女は僕に、夫になって欲しいと頼んだ。
それから、つつましやかな家が欲しい、と頼んできたこともある。
だがそれ以来、何も頼んでこない。

「だって最後の願いを言ったら、居なくなっちゃうでしょ。
あなたは本当はランプの精なんだから」

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