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【10秒で読める小説】もうすぐ入学式

明け方に見たのは眩しい夢だった。
桜の花びらを掴もうと、セーラー服の少女が、仔ウサギのように跳ね回っている。

目が醒めてから、スマホのカレンダーを見て腑に落ちた。

11年前、臨月だった私は、避難所での不安とストレスに押し潰され、流産した。

あの子、天国でもうすぐ中学生になるのね。

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