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10秒で読める小説

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100作書けたので、次の目標は150作!ってことでボチボチ書いていきます。
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#育児

【10秒で読める小説】懐かしい味

【10秒で読める小説】懐かしい味

僕は日本で人気カレー店を営む、インド人だ。

「ここのカレーは本場の味なのに、なぜか懐かしいんだよな」
客はみな、不思議そうに言う。

「アリガトウ、ゴユックリ」
と笑顔で言い、僕は厨房に戻った。

日本人である僕の妻が、仕込み用の鍋をかき混ぜながら呟く。
「肉じゃがをリメイクしたカレーが、こんなに流行るとはね」

【10秒で読める小説】母のためを想って

【10秒で読める小説】母のためを想って

腹筋をしていると、
「100×0って何だっけ?」小学生の息子が尋ねてきた。
「ゼロよ。元がどんなに大きな数でもゼロをかけたら無になるの、ふぅふぅ」
息子は目を輝かせて、お昼に用意したカツ丼の上に寒天をぶっかけた。

「ゼロキロカロリーの寒天を掛けたから、これでカロリー無にできるね!ダイエットはかどるね!」

【10秒で読める小説】わんぱく

【10秒で読める小説】わんぱく

息子の通う保育園にはわんぱくな子が多く、毎日泥だらけになっている。が、繊細な息子の服はいつも綺麗だ。
つい「泥だらけだと、ママ嬉しいな〜」とこぼしたら、次の日、息子は泥だらけで帰ってきた。
「ママ嬉しい?」
「とっても嬉しいわ」
「ママのために頑張って、泥を擦り付けた甲斐があったよ」

【10秒で読める小説】乳歯

【10秒で読める小説】乳歯

仕上げ磨きの為に娘の口を覗くと、乳歯の手前に永久歯が生えていた。

子供のまま大人びていくこの子そっくりだ。赤子の世話に追われる私に文句も言わず、手伝ってくれるのだから。

旦那に話すと「俺、永久歯が生えずに乳歯が残ってるとこあるよ」とゲームしながら答えた。
オメーは早く大人になれ。