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10秒で読める小説

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100作書けたので、次の目標は150作!ってことでボチボチ書いていきます。
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2022年6月の記事一覧

【10秒で読める小説】僕、悪いことしません

【10秒で読める小説】僕、悪いことしません

「悪事千里を走るって、悪事がバレる事ですか?」と生徒が尋ねてきた。

現代での意味は少し違う、と私は訂正する。

「メディアで報道され、ネットで他人から執拗に攻撃され、住まいまで晒されて、人々の記憶が薄まってもネットにデジタルタトゥーが永遠に残り、生涯、落伍者として生きざるを得なくなる事よ」

「僕わるいこと絶対しません・・・」
生徒は涙声で言った。

【10秒で読める小説】趣味の時間

【10秒で読める小説】趣味の時間

趣味の執筆に没頭したいのに、育児家事に追われる毎日。
私はストレスに押し潰されそうになっていた。

「そうだ!」

解決策がひらめいた。
すぐさま3Dプリンタを買ってきて等身大の自分を製作した。
よしよし、本物そっくりだ。

「さあ、思うさま執筆してちょうだい」
「了解デス」
私のコピーが答える。
これで安心して夕食が作れるわ。

【10秒で読める小説】勝てればいい

【10秒で読める小説】勝てればいい

市民体育祭のフィナーレは、赤白に分かれての綱引きだ。
あろうことか赤組はマッチョを大勢連れてきた。

「しかし白組にも最強助っ人がいるぞ。綱の先を見ろ」
「ハン!籠が載ってるだけじゃないか」

「違う、あれは鳥の巣だ。中には孵化間近の卵を抱く親鳥がいる。

さあ、引けるもんなら引いてみろ」

【10秒で読める小説】コダマ

【10秒で読める小説】コダマ

ご神木の枝に白い子供が座って、カラカラと首を回している。
「もしかして、コダマ!?」
「いかにも。なぜワタシの名を知っている?」
「そりゃ、アニメや小説にでてきますからね。でも、アニメとはちょっと姿が違うんですね」
「ええ!?こうしてはおれない」
コダマは枝から飛び降りて、走り出した。
「どこへ行かれるのです」

「商標登録しとかないと。訴えられたらコッチが偽物になっちゃう」