知人に彼氏ができてしんどかった理由が分かった話

このご時世なので、もうまる2年ほど行けていないのだが、私はスイーツバイキングで友人と「痩せたいね〜」とダイエットの話で盛り上がるあの矛盾した時間が大好きだ。

本当に食べ切れるの?というくらい並べられたスイーツ達。甘いものだけだと飽きるから、といってつい選んでしまうパスタやピザ。炭水化物ばかりとって、これじゃ一生痩せられないね!と笑い合う空間。あの矛盾に、心から安らぐときがある。


これはたぶんそういう話。

私はいわゆるセクシャルマイノリティに位置付けられる類の人間で、LGBTQ+でいえば"G"に当てはまる。
男性として性を受けたものの、女性を恋愛対象とできないので、マジョリティないしはストレートの皆さんより恋愛のハードルが割と高い。
もちろん、セクマイのコミュニティで自由な恋愛を楽しんでおられる方もいる。しかし私にとってそれは、宝くじで10億当てて都内のマンションを買って毎日ウーバーイーツで過ごすくらい非現実的である。

でも、やっぱり人生で一度は誰かをちゃんと好きになってみたいのだ。
数えられる程度の恋愛はしてきたはずだけど、本当にその人のことが好きだったのかと問われると分からない。
ちゃんとした恋愛をしてみたいのである。

そんな中で出会った、自分よりかなり年上の人がいる。若々しい感覚をお持ちだが、悩みを打ち明ければ、20代の自分には無い落ち着いた視点でアドバイスをくれる。
彼に対して恋愛感情を抱いたことは一度もないが、人望も厚く優しいし、話も面白い。彼の家に行けばコロナ禍の前までは多くの人が集まっていたので、それもあってよく自宅にお邪魔していた。

しかしついこの間、彼に恋人ができた。ショックだった。

でもそのショックは好きだったから、というものではない。
ではなぜショックだったのか。自分なりにぼんやり考えてみた。

彼に会って間もないころ、私は様々なことが重なって、「恋愛感情と性欲が枯れたから、恋愛を諦める」と口にしたことがある。
それに対して彼は「あんたの歳で枯れるのは早いよ、諦めるってのは俺ぐらいにならないと(使わないよ)」と返した。

私はこのとき「あ、この人と同じなんじゃん。」とだいぶ安心したのを覚えている。…いま思えば、「俺と同じ年齢であれば」という話で、彼自身の話ではないと分かるのだが。

この文章の一番最初、私はスイーツバイキングでダイエットの話をするのが好き、と書いた。

そう、私がショックを受けたのは、そうやってお互いに"隣の芝は青い"ぐらいの気持ちで夢物語ライクな未来像を語れる、話し合える人がどんどん居なくなっていくとに対してだった。

特に彼に対しては、他者に対して恋愛感情をもう抱かないタイプの人間だと思い込んでいたので、取り残された感が強かった。
…そもそも彼は最初から恋愛を諦めていなかったのだろうが。

これを理解した、理解してしまったときに、私は自分の幼稚さに呆れてしまった。
しかしこれを直すと言ったって、その手立てがわからない。

そろそろ、夢物語ばかり口にする化け物から卒業しなければならないのだろうが。
他人を好きになるって、こんなに難しいことだっただろうか。


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