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早川沙織からの手紙 #15

沙織ふたたび3

 土曜日の昼下がり、センター街の時計広場に到着すると、すでに沙織の姿があった。
 薄い青のシックなワンピースで、頭にはカチューシャをして、いいとこの女子大生みたいな格好をしてた。女子はほとんどそうだけど、私服姿だと制服とちがっておとなっぽく見える。
「もしかしてまった?」
 ぼくは、鉄塔がねじれたような時計塔で時間を確認した。待ち合わせの時間まで10分ある。
「私もいまきたところよ」
 沙織は、ぼくの服装をチェックするように眺める。
「楠くんは、服装とかあんまり気なさそうだし、もしジャージで来たらどうしようかと思ってたところなの」
「ジャージはダメなのか」
 ぼくは、内心ヒヤッとした。
 いろいろ迷ったあげく、めんどくさいのでTシャツとジーンズでいいやって着てきた。
 その点、沙織は頭の先から高そうな黒のローファーまで、きっちり決まっている。隣を歩くのを、気後れしそうなぐらい。
「ダメなわけじゃないけど、センスを磨いてほしいとは思うかな。男子は清潔感があればいいのよ」
「勉強になるなぁ」
「ちょうどいい時間だし、近くのカフェに寄るわよ」
「カフェ? カラオケだろ? わざわざこっちまで来なくても、カラオケならモールの近くにもあるのに」
「いいじゃない。今日は私のおごりなんだし。家からも近いでしょ」
「早川さんがそういうならいいけどさ」

 初夏らしい青空で、街は軽装の若者が行き交っていた。
 休日の午後に、私服姿の沙織と出かけるなんてとても奇妙だし、とても新鮮だった。
 4月までは、考えてもいなかった未来だ。カフェに行って、そのあとカラオケっていうのも、高校生のカップルっぽくていい。まちがいなくデートだよなって思っていた、このときまでは。

 むかった先は、アーケード街を進んで、ひとつ横の路地にある、おしゃれなカフェだった。
 入ってすぐにコーヒーのいい香りがした。レトロな雰囲気で、ところどころ間接照明が置いてある。座席数は多くはないけど、個人経営でオーナーの思い入れや歴史を感じる。
「こっちよ」
 沙織は迷わずに店内を歩いて、一番奥のテーブルの前で止まった。
 高校生っぽい男女が、ソファに並んで座っていた。
「ごめんなさい。遅れちゃって」
「沙織! ひさしぶり!」
 ショートカットの女子が、沙織を見て感動した様子で立ち上がる。手を取り合ってよろこんでいた。
 まるで宝塚の男役みたいなコだった。女子だとわかったのは、ボーダー柄の長袖シャツにキュロットスカートを履いていたからで、そうでなければ線の細い美少年かなって勘ちがいしてた。
 隣の男子は、眼鏡をかけてて見るからに秀才タイプという感じだ。身長はたぶんぼくと同じぐらい。白のポロシャツを着てて、沙織を見ても表情を崩さない。
「彼が待ち合わせに遅刻してたの。ほんとなつかしいわね。修了式以来だから、3ヵ月ぶりね」
 沙織は、にこやかに笑って席についた。
(約束の時間を指定したのは、早川さんだろ。そのまえについてたのに)
 ぼくはポカーンとしていた。
「なに、ぼーっと突っ立ってるのよ。座りなさいよ、将樹」
 唐突に名前で呼ばれて面食らった。
 うながされて、沙織の隣のスペースに座った。
「好きな物を注文していいわよ。私はアイスレモンティー」
「……ぼくも同じの」
 と気の抜けた返事した。
 メニューを見たところ、ブレンドコーヒーと手作りチーズケーキが自慢のようだ。値段もスタバほど高くない。これなら高校生でも手が届く。毎日は無理だけど。

「ねぇ、早く紹介してよ、噂の彼氏」
 ショートカットの女子がつぶらな瞳をキラキラさせながら、ぼくを見ている。さらっと聞き捨てならないことを口にしてた。
(休日にカラオケに誘うし、おかしいなとは思っていたけど、こういうことだったのか)
 ぼくは、だんだん状況が掴めてきた。
 テーブルを挟んで斜め前にいる活発そうな女子はナオミで、正面の頭の回転が早そうな男子がコウヘイだろう。
 以前、沙織が話してくれた、付属高校の同級生だ。
「私がお付き合いしている将樹。学校では隣のクラスなの」
 沙織が、事務的な感じで紹介した。
 ぼくは、そら見たことか、と思った。
「はじめまして」
 ひとまず、ぺこりと頭を下げた。
 こういう場面で女子に恥をかかせてはいけないことぐらい、いくらトロいぼくだってわかっている。
(まえにも似たようなことがあったな)
 と思った。
 あんときの元カレが、沙織に新しい彼氏ができたという噂を広めて、それを耳にした友人に紹介するようせっつかれたわけだ。
「あたしはナオミ。隣にいる無愛想なのがコウヘイ。付属高校で、沙織と一緒だった。あたしたちのことは聞いてる?」
「中学のときから仲のいい5人グループとか」
「意外。想像してたのとちがったかも」
 とナオミがいった。
 しゃべると、眉にかかった前髪が気持ち良さそうに揺れる。
 かなりの美形だけど、沙織のような近寄りがたさみたいなのがなくて、親しみがあってしゃべりやすい。それは、少年っぽい髪型の影響も多分にあると思う。こういうコは、男子よりも女子に人気があるだろうなと思った。胸の大きさも、沙織とどっこいどっこいだ。ようするに、ほとんど存在を主張してない。
 良くいえば中性的、悪くいえば女性らしさに欠ける。もしかすると付属高校の女子は、勉強をしすぎて栄養が胸にまで流れてないんじゃないかと想像した。
「将樹は、とても情熱的なの。ライブハウスで私のことを守ってくれたり、あと”話がすごく合うの”」
 沙織は、すました様子で淡々と説明している。
 適度にオブラートに包んで。物は言いようだ。
 そりゃー、夢の話を他人が聞いたら、白い目で見られるに決まってる。
「告白したのはどっち。沙織? 将樹くん?」
「えーっと……ぼくかな」
 ぼくは、隣の様子をうかがいながら慎重に言葉を選んだ。
 沙織は、まるで他人事といった様子で、運ばれてきたアイスレモンティーのストローに口をつけてた。
「いつ? 場所はどこ?」
「……5月に。図書館に早川さんを呼び出して」
「沙織のことを苗字で呼んでるの?」
 ナオミがいぶかしそうな顔をしてた。
「将樹ったら、ナオミたちのまえで緊張してるみたい」
 沙織は、ほがらかな声でこっちをむいて、ジロリとぼくを見た。
 状況をよーく考えろ、という目をしていた。
「沙織を呼び出して」
 ぼくは、どもりながら訂正した。
「ふーん。沙織は、わがままだから大変でしょ」
「ときどき。普通だよ、たぶん」
「将樹くんは、弟か妹がいるでしょ」
「妹がひとり。どうして、わかったんだ」
「やっぱり。沙織のどういうところが好きなの?」
「どういうところといわれてもなぁ」
 怒涛の質問攻めに、ぼくは唸る。
(初対面なのに、やけにツッコんでくるぞ。まいったな)
 女子の恋愛トーク好きを甘く見ていた。
 ぼくは、あれやこれや考える。
 返答に困って隣を見ると、沙織はテーブルに頬杖をついて、黒い瞳でじーっとぼくを見ていた。
「聞きたい。私も興味あるかも」
 ぼくの様子を見て楽しんでる感じだ。
(こいつ、ほんといい性格してるな)
 と思った。
「いえないの? 彼氏なのに」
 と沙織が落ち着いた口調で煽る。
 いったい、どっちの味方なんだか。
「本当は転校して寂しいのに、私は平気だって突っ張ってるところかな。キッとした目つきで、自分を奮い立たせて。そういう女子は、いままで会ったことない。まるで星の王子さまに出てくる、トゲのある花みたいだろ」
 ぼくは、思いついたことをのたまってみた。
 ウソはついてないと思う、たぶん。
 沙織は、ぼくの答えが予想外だったみたいに黒い瞳をパチクリさせていた。
「沙織のことを、そんなふうにいった男子ははじめて。だいたいみんな、顔とか髪とか見た目を褒めるのよ。学校の人気者だからとか。いわゆるトロフィーワイフ的な」
「なんだそれ」
「まあ、自慢よね。美人を連れて歩いたら、自分がえらくなったような。自己顕示欲」
「へー……」
 ぼくは、どっと疲れた。
 カラオケに行く前に精神力をかなり消耗した感じだ。

「将樹くんはピンと来てないと思うけど、沙織が転校して大騒動だったの。とくにあたしたちの学年は。こんどは、彼氏ができたって話題になってる」
「どうせ、先輩でしょ。ほんと幻滅。みんな元気にしてる?」
「元気元気。クラス替えで、仲のいいコはバラバラになっちゃったけどさ。そういえば音楽の八村先生が結婚するの。相手は大学の同級生らしいわ」
「そうなんだ。あの先生、男っ気なさそうだったのに……。コウヘイはあいかわらずみたいね。ムスッとしちゃって」
「だれかさんのせいでな」
「男のくせに、まだ怒ってるんだ」
 沙織はクスっとした。
 学校では見せない、打ち解けた様子だ。
 すくなくとも学校で沙織から男子に話しかけるところを、ぼくは見たことがない。
「コウヘイね、ショックで模試の成績が落ちたのよ。ガクッと。付属高校の秀才が入学以来の大スランプ」
 とナオミがからかうようにいった。
 肘でわき腹を突っついている。
「たまたま調子が悪かっただけだ。つぎの模試でかならず取り戻す」
 コウヘイは、眼鏡のブリッジを指でクイッと押し上げた。
 その動作がハマってて、いかにも勉強ができるんだろうなって感じだった。
「とかいっちゃってー。コウヘイって、クールぶってて友情に熱いのよね。今日も、行けたら行くって冷めた様子で返事してたくせに、予備校をサボってきてるし」
「べつに。沙織の様子を自分の目で確認しておきたかっただけだ。一日サボったぐらいで変わらない。目標はあくまで2年後だからな」
「ミカとタイガにも声かけたのよ。ふたりとも、沙織に合わせる顔がないみたい」
「そっか……」
 沙織はとくに表情を変えなかった。逆にそれが、気にしてるんだろうなって伝わる。
「タイガはかなり反省してるみたい。ミカも謝りたいってさ。いまは、まだ無理だけど」
「あんなヤツ、誘わなくていい。沙織が転校したのだって、あいつが原因だろ」
 突き放すようなコウヘイの態度に、ナオミは肩をすくめてた。
 なるほど、クールに見えて熱いタイプみたいだ。
 ぼくは、アイスレモンティーを飲みながら観察してた。
「勉強は大丈夫なのか」
 コウヘイが沙織を見て質問していた。
「転校して気を抜いてると足元をすくわれるぞ。地元の国立志望だろ」
「そのへんはしっかり考えてある。夏からコウヘイと同じ予備校に通うつもりよ」
「それを聞いて安心した。沙織の学力なら十分狙える位置だからな」
 ふたりの会話を聞いてると、ここが予備校のロビーのように錯覚する。
(早川さんは、国立志望なのか。みんな、もう大学受験の準備をはじめてるんだな)
 と思った。
 そういえば書店で、沙織が有名大学の過去問を探していたのを思い出した。
「あたしたちも来年は受験生だもんね。将樹くんも大学進学? ちなみにあたしは東京の私大狙ってるんだ。コウヘイは京都の大学」
「……ぼくは、まだ決めてないかな」
「将樹は、私と同じ大学志望なの」
 急に割り込んできた。
 ぼくは、なにいってるんだ、と思った。
 沙織は涼しそうな顔をしてた。
「もしかして医学部?」
「そこまではわからないけど、こう見えてすごい優秀なのよ」
 沙織が断言するもんだから、ふたりともぼくを勉強ができるヤツだと信じたみたいだった。
 内心、冷や汗もんだ。ぼくの学力で国立大学に入れるわけがないのに。

「ねえ、将樹くんにも教えてあげたら。あたしたち5人が親しくなった事件」
 とナオミがいった。
 目の前のオレンジジュースのグラスはすでに空になって、氷だけが残っていた。
「なにいいだすの。将樹が聞いてもしょうがないわ」
「知っておく権利はあるはずよ。沙織の彼氏なんだし、へんな誤解を生まないためにも」
「やめてよ。私の黒歴史なの、知ってるでしょ」
 沙織が身を乗り出すようにして、ナオミのおしゃべりを止めようとしている。
 ぼくは、がぜん興味がわいた。
「聞いてみたい、”彼氏として”。女3に男2って、たしかに変だよな」
 ぼくが悪ノリすると、沙織がサッとこっちを見た。
 目を大きくして不満そうな顔をしてた。
 いいとこの女子大生っぽいおしゃれがだいなしだ。
「もともとは中学に入ってすぐにあった林間学校の班だったの。県民の森は知ってる? キャンプファイヤーをしたり、飯盒炊飯でカレーを作ったり。二泊三日で、さまざまなアクティビティを通じて、中学に慣れて生徒同士の親ぼくを深める目的よね。はじめは6人だったけど、男子がひとり病気で来れなくて、あたしと沙織・ミカ・コウヘイ・タイガの5人になったわけ。でね、二日目にオリエンテーリングをやることになってたの」
 オリエンテーリングは、地図とコンパスを使って、各所に設置されたチェックポイントを通過してゴールまでのタイムを競うゲームだ。
 体力だけでなく、地図を見て自分のいる場所を把握する知識や、チームワーク、班をまとめるリーダーの資質なんかが問われる。生徒同士の交流が一気に高まるので、ぼくが通っていた中学でもやってたりする。
「チェックポイントには、生徒が考えた問題が置いてあって、それを解いて次のポイントに移動するの。ポイントを通過する順番は各班ごとに自由なんだけど、その辺も重要な攻略ポイントよ。
 制限時間は2時間。沙織が班長で、タイガが副班長。コウヘイは問題を解く係。その頃は、あたしも髪が長くて、1クラス6チームで、計18チームあったかな」
「なかなかおもしろそうだ」
「すごく盛り上がってたわよ。地図を配られてから、どこから回るか作戦を練ったり。班長の沙織が地図を持って、こっちだ! ってズンズン進んでいくわけ。
 その日は午後から小雨の予報で、道がどんどん細くなるの。周囲は林っていうか、森よね。どっちを見ても、背の高い樹木と草しかない。そのうち藪になって、蜘蛛の巣があって、道が険しくなるの。もう、獣道。すぐ脇から熊でも飛び出てきそうな。5人とも都会育ちの中学生でしょ。子供も子供よ。
 しばらくするとミカが不安になってきて、本当にこっちでいいの? っていいだした。ミカはお嬢さまだから体力もあまりないのよ。
 沙織は、自信満々で、あってるはず! といい切って、さらに藪の中を進んだ。
 コンパスを持って、タイガは唸ってたし。沙織は、地図をこうやってにらむようにして見てて」
 ナオミは、カフェのメニューを使って、顔を近づける仕草をした。顔をしかめて、すごくコミカルな感じだ。
 うっそうとした森の中で、中学生の沙織が地図とにらめっこしている姿が目に浮かぶ。
「コウヘイはムスッとして、後ろをついてきて、なにもしゃべらないの。中学のときからこんな感じ」
「気づいてたけどな。途中に林道の道しるべみたいなのがあった」
 とコウヘイが冷静に補足した。
 コーヒーのカップに口をつける。
「それならいいなさいよ。ルートを外れてるとかなんとか」
 沙織が顔を上げて抗議した。
 いまでも根に持ってるらしい。
「いっただろ、何度も。本当にこっちのルートで合ってるのか。沙織に嫌そうな顔された。大丈夫って答えてただろ」
 沙織とコウヘイのやり取りを見て、ナオミは苦笑してた。
「雨が降り始めて、日も当たらなくて、5人で相談して来た道を戻ろうっていうことになったの。先に進もうにも深い藪だし無理よね。
 ところが、途中で脇道に逸れちゃって、典型的な遭難のパターン。森の中は、似たような景色ばかりだから見分けつかないもの。
 GPSとトランシーバーはあったわよ。学校側も、そのへんの安全対策はしっかりしてる。もし迷子になったときはトランシーバーで連絡して、教師が来るまで、その場を絶対に動かないようにって説明も受けてた。中学生が森の中を歩ける距離もたかだか知れてるでしょ。ただし、その時点でリタイアになって得点は0。
 あたしたちは、あきらめてリタイアしようっていったの。本当にこのまま遭難になっちゃうんじゃないかって不安で。
 沙織だけが、まだだって、あきらめてなくて。もしここでリタイアしたら、この先、同じような困難にぶつかったときにすぐにあきらめる悪い癖がつく、制限時間ギリギリまで粘って、それでダメだったら救助をもとめましょうっていったの。
 半泣きだったミカに、ナップサックにあったクッキーを渡して元気づけて。自分で地図とコンパスを見て、地形から場所を把握して、また歩きはじめたの。13歳の女の子がよ。こういう女子もいるんだって感心しちゃった。
 結局、1時間近く森の中を5人でさ迷い歩いて、奇跡的にルートに復帰できた。ほかのチームはとっくにゴールしてたけど」
 しゃべり終わったナオミは、満足そうに沙織を見ていた。
 ふたりの関係性がよくわかる。
 いわばドレミファの、ドとレだ。どちらが欠けても美しいメロディを奏でることはできないし、ドとレのどちらがえらいとか強いとかはない。対等だからこそ、気が合うわけだ。
「ぼくたちのチームがダントツの最下位だった。チェックポイントを、ひとつも通過できなかったんだから当然だ。おまけに先生に叱られた。後にも先にも、あんな経験はない」
 とコウヘイが落ち着いた声で説明した。
「なかなかすごい思い出だ。中学生が森で遭難しかけた」
「沙織はリーダー失格よね。コウヘイの意見を聞かなかったし、地図の見かたも知らないくせに、班を遭難の危険にあわせて。
 でもね、その事件があったおかげで、あたしたちは林間学校が終わっても一緒に行動するようになった。体育祭も文化祭も。普通、中学生ぐらいだと、仲のいいグループがあっても男子と女子で別れてたりするでしょ。でも、沙織が呼んだらタイガもコウヘイも自然な感じで仲間に入ってくるの。性格も考えかたも、正反対の二人が。
 それって、偶然があったにせよ、リーダーの本質では沙織が一番優れてたってことよね。バラバラだった5人を1つにまとめあげて、無事ゴールしたわけだし。もしあのとき沙織があきらめてたら、あたしたち5人は親友になってなかったはずよ」
「へぇー、沙織がなあ」
 ぼくがニヤつきながら隣を見ると、(なによ、文句ある)、みたいな顔をしてた。
 沙織にとっては、ほろ苦い思い出らしい。

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