見出し画像

“推す”より“真似る” Z世代の憧れ調査

 安室ちゃん、キムタク、あゆ…のような、時代を象徴する”カリスマ”が居なくなったと言われて久しく、実際にZ世代にヒアリングをしても好きなタレントは本当にバラバラです。これまで何度か「憧れている芸能人・タレント」を具体名で回答してもらうようなアンケートを行いましたが、毎度回答の個別性が高く、集計にならないためお蔵入りになっていました。
 そこで、憧れの対象の具体名ではなく、「憧れ」という感情の有無、憧れる対象の基準、などといった意識に関する質問を通して、Z世代が憧れる像の輪郭を捉えていきたいと思います。

【アンケート】
<調査対象>
15歳~34歳までの男女337名
<調査実施期間>
2021年4月19日~4月21日まで
<調査方法>
インターネット調査

「憧れの人」いるorいない? 世代間で差も

はじめに、そもそも「憧れの人」がいるのかどうかを世代別に見ていきます。

画像1

 全体の約57%が、自分が将来なりたい像として憧れている人が「いる」と回答しました。特に違和感のない割合ですが、注目すべきは世代別の結果です。男女ともに15~19歳では7割以上が「いる」と回答しており、女性は20~24歳でも10代と同様の結果になっています。このことから、Z世代は、憧れの対象は人それぞれでバラバラであるものの、「憧れ」という意識は上の世代よりも強く持っていることがわかります。男女ともに30代では「いない」の方が多くなっているのは、社会に出て仕事もする中で、自我や家庭を確立しているからかもしれません。

画像2
画像3

 憧れの対象としては、俳優(14%)・男性アイドル(13.4%)・ミュージシャン(13%)・女性アイドル(12.4%)がほぼ横並びとなりました。それ以外のカテゴリーは大きな差がないことから、親や学校の先生など身近な人よりも有名人に憧れる傾向があると言えます。ちなみに「その他(フリーアンサー)」では、スポーツ選手、声優、アニメのキャラ、VTuberなどが挙がっていました。

 憧れている要素としては、「外面も内面も両方」が最も多く、単体での「外見」「内面」はほぼ同じという結果になりました。男女別で見ると、男性は10代・20代では「外見も内面も両方」が多い一方で、30代では「外見」という回答が半数以上を占めています。見た目だけではなく人間としての憧れという意識が10代・20代の方が強いと言えそうです。女性は、10代では「外見も内面も両方」「内面」が偏って多いですが、それ以外の世代では大きな偏りは出ませんでした。

憧れの人の外見だけでなく生活習慣も真似る

 誰かしらを憧れの対象として見ている人が多いことがわかったところで、その人に近づくために具体的にどんなアクションを起こしているのかを深掘りしていきます。

画像4

 挙げられた行動として「憧れの人のSNSや動画をチェックしている」が最も多く、その人について「知る」というアクションが主軸となっているようです。次いで多いのが「生活習慣を真似る」「髪型やファッションを真似る」。髪型やファッションよりも生活習慣の方が、ポイントが高くなっている点が興味深いですね。これは、YouTubeやSNSを通して、ライフスタイルをオープンにするのが一般的になってきたことが影響していると思われます。それに伴ってか、「憧れの人の愛用品を自分も使う」が次いで多くなっています。いわゆる応援消費という「憧れの人が表紙になっている雑誌を買う」「憧れの人が出ている広告の商品を買う」などは、先述のものに比べると少ない結果となりました。

 今回の調査からわかったZ世代の「憧れ」の特徴は以下のとおりです。
① Z世代の7割は憧れの人がいる
② 「外見と内面の両方」に憧れていることが多い
③ 髪型やファッションだけでなく「ライフスタイル」にも憧れる

彼らに共通する憧れの人物を見出すことは難しくなっていますが、個々人では、「この人のようになりたい」と、思い描く理想像があります。それが外見なのか、内面なのか、ライフスタイルなのか、見極めることの難しさもありますが、ただ「カリスマがいない」で話を終わらせるのではなく、一人ひとりが自分で抱く憧れ像に近づく後押しをする、という観点から寄り添っていけるかどうかがカギとなりそうです。

堀 200×200

堀 かおり
2014年、電通テック入社。2018年5月より +tech labo の研究員となり、“Z 世代”を軸として開発業務を行っている。Z世代男子に向けてメンズ美容の情報を発信するInstagramアカウント「Boys Beauty」のプロデューサー。

https://plustechlabo.jp/