見出し画像

「リモートワークうつ病」を防ぐには

はじめに
コロナ禍をきっかけにリモートワークという働き方が一般化しました。ワーク・ライフのバランスの確保や業務効率化、自立性の向上、通勤ストレスからの解放などさまざまなメリットがある一方、メンタルヘルスを崩す人、特に「うつ病」を発症してしまう人が増えています。これは、実は重大な問題なのです。
まずはどのように重大なのか見ていきましょう。

1.うつ病がビジネスに与える影響の重大性


まずはリモートワークがメンタルヘルスに与える影響ですが、社会的孤立や対面コミュニケーションの減少がまず問題となります。一般的にビジネスチャットでのやり取りがメインとなりますが、コミュニケーションがリアルタイムでなされないので、無駄な待機時間が発生しがちです。

仕事と私生活の境界線の曖昧さによるストレスも問題です。時間外に連絡が入りプライベートに仕事が食い込んだりなどは典型的な例といえるでしょう。場合によっては具合が悪くて欠勤しているのに、病院の待合室で対応をしなければならない場合などもざらです。

うつ病になると作業効率の低下はもちろん、必要な時にコミュニケーションがとりづらくなります。コミュニケーションを普段からとっていない企業に見られがちなのですが、スタッフがこちらから発信しているのに返信が来ないことに慣れてしまい「どうせ返信が来ないんだ」と「脳レベル」で判断してしまうためです。これはうつ病の様々な症状の一例にすぎません。

うつ病は「怠け病」という風潮がまだありますが、脳内でセロトニンというホルモンが不足することで起こるれっきとした「脳の病気」です。
セロトニンの補助のために肝臓にも負担をかけるほどの強い薬が必要になり、ときには誰にも言わずに突然自死を選ぶ患者もいます。命に係わる危険な病気であることを、すべての人が理解する必要性があります。

2.リモートワーク環境におけるうつ病の兆候と対処法


うつ病の兆候をまず見落とさないことが大切です。たとえば以下のようなものが挙げられます。(全てではありません)

 作業効率の低下(やる気の著しい低下のために、効率が悪くなる)
 コミュニケーションの減少(それまで取れていた家族観・友人間などのコミュニケーションがさらに減少する)
 生活リズムの乱れ(普段はあり得ない時間に急に眠くなるなど)
 メンタル系の疾患が体に出る(胃腸の健康悪化や自律神経の不調など)
 自分を責める行動に出る(やる気が出ないのは自分のせいだと思い込む)

もちろんセルフケアも大切です。規則正しい生活習慣を送るように心がけ、運動不足になりがちなので、定期的な運動をする習慣をつけましょう。

3.職場におけるメンタルヘルス対策


定期的なオンラインでのチェックインや面談を実施しましょう。孤独になりがちなスタッフの様子を音声と画像で確認し、メンタルヘルスで問題がないか確認することが大事です。
メンタルヘルス関連情報や支援策のオンラインでの提供も効果的でしょう。
オンラインメンタルヘルス研修やストレス管理ウェビナーの開催も視野に入れましょう。
スタッフ個々は自分のメンタルヘルスの不調に気づきにくいものです。ですから、職場優先でメンタルヘルスの維持をけん引していくことが何よりも重要なのです。これは、義務といっても差し支えないと思われます。

4.リモートワークとワークライフバランス


リモートワークにおけるワークライフバランスの重要性は、かなり無視されがちです。なにしろ、仕事がすぐにできる環境が24時間あります。ビジネスチャットもスマートフォンに入れることを推奨されている場合がほとんどで、寝入りばなに緊急の連絡が来たりする場合も多々あります。

そうなると、仕事と私生活の切り替えを助ける工夫が必要になってきます。プライベートなスマートフォンにビジネスチャットを入れることを推奨しない、仕事用パソコンとプライベートのパソコンを分ける、勤務時間を明確に設定し、それを共有しプライベートな時間の連絡は避けるなどです。

5.コミュニケーションの重要さ


オンラインコミュニケーションを活発に行うことも重要です。
誤解されやすいのですが、一方的なものではありません。相互のコミュニケーションを取ることが大切なのです。また、それが義務的なものにならないことです。スタッフ間の交流の場を作り、時には雑談をしたり、仕事以外の休憩を取りやすくすることはメンタルヘルスの維持につながります。

相談しやすい環境づくりもしなければなりません。ありがちなのが、大事な業務指示を仰いでも返信が全く来ないという状況です。スタッフは否応なく自己判断で進めるしかなくなり、それが自信喪失やモチベーションの喪失につながり、うつ症状に陥るという危険性もあるのです。

まとめ


リモートワークにおけるメンタルヘルスの維持は、当然のことながらスタッフ個々の生活習慣の見直しなども必要になってきます。しかし最も重要なのは、雇用する側の意識であることを理解していただけたかと思います。

ずっとデスクに向かわせない工夫なども良いでしょう。タイピング中心の仕事には、一定の小休憩を挟むことが義務付けられていますので、それに倣って定期的に小休憩の時間を設けるなども対策の一つでしょう。
効率優先なら、そういったスタッフ側への細やかなホスピタリティをまず重要視することが大事なのではないでしょうか。

そうすればスタッフの作業効率が上がり、優秀な人材が集まり、さらに効率アップにつながっていくと筆者は思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?