【観劇記録】柿喰う客 新作本公演2024『殺文句』
2024.05.24 @ 本多劇場
平日夜公演は、仕事終わりに腹ごしらえという名のワンクッションを挟むのも楽しみの1つだ。なのに、最近は入るお店が職場近くで固定化している。新規開拓したい気持ちはあるが、アルコール無しで1人前夕食とれて時間調整に使える店を探すのはハードル高くて、ついチェーン店に……。
柿喰う客の公演を見るのは初めて。いろんなところで劇団員や演出家の名前は見かけるけれど劇団は見たことないから、というだけの動機で行ったので、どんな系統のものが出てくるのかもあまり気にせずに行ってしまった。しかも初日に。
その結果、芝居を見ながらチューニングを合わせるのに時間がかかりすぎたというか、探り探り見ている時間が長くなってしまい、受け止めきれなかった。これは作品がどうこうではなく、あくまで私の頭が固くて想定が甘かっただけ。そういえば昔もこんなことがあった気がする。学んでいない。
演劇は身体の表現と言葉の表現の組み合わせでできている、ということを久しぶりに思い出させてくれる舞台だった。最近はそこを意識する必要のない作品ばかり見ていたり、意識したとしても身体/言葉のどちらかだけだったりしたので、言葉と身体の両方から鋭角に刺されたような気分になった。
言葉で表さずとも身体は雄弁なのはその通りだけれど、言葉には身体では語れないことを語れる力があるとも思う。どちらかを際立たせるのではなく両方が剝き出しでなだれ込んでくるような感覚は、いっそ暴力的だとも感じられるくらいだった。
先述のとおり探りながら見ていた時間が長かったのもあって、正直言うと、内容に関しては"何が起きたかは分かるけれどそれが何なのかはあまり分かっていない"状態だった。でも、誰も置いていかないタイプの演劇というわけでもなさそうだし、それはそれで、という気持ちではある。
この手の演劇を見る人には常識なんだろうな、と思うシーンがしばしばあって、自分の教養のなさとジャンルの偏りを痛感するばかりだった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?