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【観劇記録】ある閉ざされた雪の山荘で

2024.01.25 @ 大手町三井ホール

 2024年観劇初めは初めての会場。ここは舞台公演にも会議・研修にも使えるようにも作られた会場らしいが、着席してざっと見渡した時に見える景色があまりにも"会議室"だった。演劇部だった高校時代、文化祭で会議室にお手製舞台を作っていたのを思い出してしまった。

舞台役者としていくつもの劇団を渡り歩いてきた久我和幸は、演劇界でその名を知らない者はいない劇団「水滸」のオーディションを受け合格した。

「水滸」の公演は出演をきっかけにテレビで活躍する役者も少なくない。そんな人気劇団の新作に参加できると喜んでいた久我の元に、1通の手紙が届く。その手紙は合格者のみが参加できるオーディションへの招待状だった。手紙の指示通りに久我は人里離れた山荘に向かう。そこには、久我の他にオーディションに合格した男女6人が集められていた。到着早々、久我達に奇妙な課題が出される。それは、「豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇を演じろ」というものだった。手紙やメモで次々に新しい指示が出される。そしてついに、オーディション参加者の1人の失踪と共に第一の殺人が起きる。残された6人は、陸の孤島と化した山荘で殺人事件の犯人探しに乗り出すのだが……

https://nosakalabo.jp/tozayuki/ より引用(2024.02.06取得)

 原作、脚本、演出のクレジットから期待されるものを裏切らない、信頼できる面白さだった。一言で言うと良作。ただ、突き抜ける≒ドハマりするような面白さがあったかというと微妙で、もう一押し欲しかったなという気持ちはある。

 山荘で起きていること自体はとても面白かったのだが、前提として久我や水滸の劇団員たちがどういう役者なのかが見えづらくて、一歩踏み込めなかったように思う。裏ではこうとか言われても表を知らないし……。舞台だと回想を入れるのに限界があるから、その点に関しては映像の方が見やすいのかもしれない。
 それから、ミステリー作品であり、推理をするということの性質上仕方ないのだが、個人的にモノローグの多用があまり得意ではないので、久我が推理をするモノローグが随所に挟まれているのが少し退屈に感じてしまった。退屈というか、またこれか、という感じ。

 何を言ってもネタバレになってしまうので、中身について話をするのがなかなか難しい。もう少し正確に言うと、直接的に言わないことは可能だけれど、そこから類推できることがネタバレになってしまう気がしてならない。
 ひとつ言うならば、最後の久我の台詞に「ほんとそれな!」と返したかった。メタな視点になるが、演劇が出てくる作品ってこうなりがち、というところはこの作品にもあるので、種明かしを聞きながら「やっぱりそうなるか……」と思っていたところにちょっと吠えて(ツッコミを入れて)くれたのは、少しほっとした。

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