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【観劇記録】笑わせんな

2024.02.09 @ 本多劇場

 せめて年に1度くらいは下北沢で(やるような芝居を)観劇、とぼんやり考えていて、今年は早々にクリアできた。観劇好きを名乗るなら、あとは見るジャンル的にも下北沢にもう少し縁があってもいいはずなのだが、とことん微妙である。

とある美容室で開催されている社会人サークル。
そこでは、閉ざされた空間でのみ鬱屈した願望を満たすことを赦された人々が集っていた。
それは、「くすぐり、くすぐられる」ことで快楽を得るという癖。
その主催者である藤原(浜中文一)は、パートナー比嘉(山下リオ)との別れによって美容師として致命的なイップスを発症し、途方にくれていた。その最中、店の客であった山田(鳥越裕貴)から猛烈なアプローチを受ける。
山田の手助けによりオーナー松本(入江雅人)からのクビ宣告は回避した藤原だったが、人間的なややこしさに満ち溢れたサークルメンバー、望まれない来訪者、外部からの風説がより藤原を追い詰めて行く。
そして発覚する、裏切り行為。
疑心暗鬼と混迷を深めて行く人間たちの仮面パーティーの果て、藤原は誰とどんな顔をしているのか。
物語の結末は、いつだって悲劇的な喜劇だ。

https://mmj-pro.co.jp/warawasenna/ より引用(2024.03.02取得)

 要所要所は面白い、というのは頭では分かるのだが、体がついてこなかった。何なら観劇前はこれ好きそうなやつ、と思っていたので、こんなに合わないことあるんだな……ってショックを受けるくらい合わなかった。こういう時に限って最前列で、真正面から受け止めないといけないのが余計にキツい。
 そして、好評の感想を見かけるたびに、「面白さが分からないお子ちゃまで悪かったな」と拗ねている。私が耐えられなかったのは、間接的にトラウマを刺激されたからという個人的なものなのでどうしようもないのだが(我ながら馬鹿馬鹿しいとは思っている)。

 主に山田、あとは藤原、吉岡あたりの言動で、今の時代この表現を無邪気にやるのは良くないよね?という表現が出てきたときに、敢えてやっているのか無邪気にやっているのか判断がつかなくて、警戒してしまって疲れてしまった。笑っていいのかが分からなくて笑えない、というか。
 結果として、意味のある(=後でちゃんと回収される)言動だったので納得はしているし、そうだと分かっていればもう少し純粋に笑えただろう。そういう危うい題材だからこそ演劇の題材になるとはいえ、大事なところに辿り着く前に心のシャッターを下ろしてしまうことになったのは勿体なかった。なかなか難しいところではある……。

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