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Amazon Prime Video お薦め①『蜜蜂と遠雷』

コロナ禍の中、自宅でビデオ鑑賞という人も多いでしょう。

今回からアマゾンプライムビデオで見た映画についてオススメコメントを書いていきます。もちろん見てもらいたいものを薦めるわけですからネタバレはありませんのでご安心を!

さて、今回はピアノコンクールをめぐる人間模様を描いた傑作『蜂蜜と遠雷』です。

音楽ものですので、できるだけよいオーディオ環境で聞かれることをお勧めします。スピーカーがあまりよくない場合はヘッドフォンやイヤホンの方がいいでしょう。

映画の面白さの理由としてはストーリーが面白いもの、映像がすばらしいものなどが挙げられますが、この映画は映像と音楽に引き付けられることがその魅力となっています。映画というものは理解するもの、ありは理解しようと努力するものではなくまさに見るもの、そして聴くものなのだ、ということ、その魅力に改めて気づかせてくれる映画です。原作小説があるそうですが、読んでませんが原作がストーリーを追うものであれば、この映画は心象風景も含む「シーン」に浸るのが、そして浸った後であれこれ考えさせられるのが、その楽しみ方でしょうし、作り手側としてもそれが狙いでしょう。

この映画で奏でられる音楽は基本的に「クラシック」と分類されるジャンルの音楽ですが、クラシックというよりも、現代音楽的であり、また自由度が高いという意味でジャズ的だという印象を個人的には受けました。そもそも「クラシック」という言葉は「古典」というよりも、「歴史的に残る作品」と定義した方がいいでしょう。そしてそれを演奏する演奏家はまさに「今」という時代、その瞬間においてその「歴史に残るもの」を再現する存在です。この映画に出てくる演奏家達は基本的にいわゆる「天才」達(天に恵まれた才能があるという意味)ですが、天才だからこそ努力をし続けなければならないし、周りからの期待や妬みも強いし、自分ではどうしようのない「運」や「運命」といったようなものにももちろん大きく左右させられます。その意味では「天才」というのはむしろ過酷な生き方を背負わされてしまった人たちということもできるでしょう。

ただ、面白いことにこの映画には天才と言うにはあまりにも無垢なタイプの天才も出てきます。天使的と言えば天使的ですが、しかしこの天使に脆さや不安というか、ある種の危うさ、危なさ、刹那さ、といったものをどうしても感じてしまうのは私だけでしょうか。これは言っても別にネタバレにならないでしょうが「一度消えた元天才子供ピアニストの復活に向けての挑戦」というこの映画のストーリー(ストーリーというよりもワンエピソード)を裏返してみてみると、「現天才」もいずれ消えかねないはかない存在である、そもそも「天才」とはある限られた時間しか存在しえないものなのではないか、というようなことも考えさせられてしまいます。

とにかく、まずは見て、聴いて、浸る。そしてその後で考えさせられる、という意味でおすすめの映画です。

是非見てみてください!

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