見出し画像

Amazon プライムビデオお薦め④『検察側の罪人』

今回お勧めする映画は『検察側の罪人』です。

原田眞人監督の映画では『金融腐敗列島 呪縛』(残念ながらこの作品はAmazonプライムビデオには今のところ入っていません)が好きなのですがこの映画も社会派ドラマという点で、その系列と言っていいでしょう。この監督のすごいところはオープニングで名前が出てくるいわゆるメインの役者以外の俳優陣が「この人どこから見つけてきたの?」というくらい、いい顔といい演技をしている人を揃えている、というところにあります。まだまだ日本にはすごい役者、とすごい監督がいるんだな、と知らされます。

そして今回の主役にはキムタクとニノといったいわゆる「スター」を起用しています。「顔」という観点から言うと、いわゆる派手顔ではないニノはこの作品にぴったりとマッチしています。一方キムタクはその完璧さから(訳の上でも完璧な人間であるし、キムタク本人のパブリックイメージも何でもできる完ぺきな人というイメージ)最初は、ちょっとこの作品には合わないかな、と思って見ていたのですが、ところがどっこい、それもある種の演出だった、完璧な人間に完璧な人物の役をやらせることもある意味演出だったんだな、ということがだんだん分かってきます。そしてその演出に見事に演技でキムタクは答えています。その意味でもやはり完璧なのですが、完璧であるとは、正義とは、がこの映画自体のテーマだったりもします。

これも原田眞人監督と、編集をしている息子さんでもある原田遊人さんの特徴なのでしょうが、シーンの切り替えのテンポがよく、それゆえにある時はちょっと展開というか切り替えが急じゃない?ストーリーとのバランスが悪いんじゃない?と思ったりすることもありますが、それがまた魅力だったりします。リアルな社会派ドラマと思わせておいて、不思議な演出(今回で言えば葬儀場面での舞踏など)も入っていたりとそのアンバランスなバランスも魅力だし、映画とは現実と虚構の間にある存在なんだな、ということ、私達は映画を見るとき、それをリアルとしてみていると同時に、リアルではないものとしてみているんだな、ということを改めて感じさせてくれる作品であり、監督であります。

ということで、「どうせキムタクでしょ?」と思ってしまっているような人に(私も見る前はそうでした)こそ、おすすめの映画です。

Amazonプライムビデオにはないですが、これを見て面白いと思った方は『金融腐敗列島 呪縛』も見てみてください。


この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?