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アマゾンプライムお薦めビデオ③ 107:なぜだろう?癖になってしまう!ビデオ『戦慄怪奇ファイルコワすぎ』シリーズ

ここに来て8年ぶりに新作が、しかも映画版(劇場版)で公開されたことも話題となっている『コワすぎ』ですが(ちなみに過去にも映画版はありました)、このシリーズ、「コワすぎ」といっている割には怖すぎることはなく(だからこそ敢えてのカタカナなのかも)、むしろポイントはその前にある「怪奇」のほうでしょう。内容的にも怪奇ですし、そもそもこの一連のシリーズ全体が「怪奇作」となっています。いつもは作品へのリンクを貼らせてもらっていますが、今回はシリーズが多いので、シリーズ全体へのリンクを貼らせてもらいます。

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とにかくこの手の路線で(もちろん中にはシリアスものもありますが)自分のスタイルというものを築き上げた白石晃士監督は凄いとしかいいようがないです。小説やマンガと言ったある程度自分ひとりでつくれるものならともかく、映像作品という人手もお金もかかるところで、自分のスタイルを前面に出せる作品を作り上げること自体もすごいし、そしてそれにちゃんとファンがついて、どんどん規模も大きくなりながら展開していける点もスゴイ。写真を見たり、インタビュー記事を読んだりする限りでは決して押しの強そうな人ではないのですが、それでも自分のスタイルに周りを巻き込んでいけるということは、この人にはそれだけの魅力(人間力)があるのでしょう。多くの関係者に愛されている人かと思います。

さて、肝心の作品の方ですが、これはとにかく見てもらうしかないでしょう。そして人によって評価や好みは分かれるでしょう。そしてハマる人はハマります。私もその一人でした。そして見続けていくうちに「えっ、こんなところまで」と話はスケールアップしていきます。作っている時点では次回作があるかどうか分からない状態なので、後付け的になっている部分はありますが、「あっ、あの話はここへの伏線(前振り)だったのね」と思わされる点がいくつもあります(その辺の構成力もすごい!)。また、このシリーズの魅力はとにかくその登場人物の魅力、キャラの濃さです。ディレクターである工藤のキャラの濃さはその濃さがまさに人間離れしていますし(この作品、怪奇現象を映像制作会社がドキュメンタリーとして追いかけるという構造になっています)、アシスタントディレクターの市川も、一見まじめで冷静ですが、ときどきキレることもあり、そこもまた魅力です(今回の映画版ではディレクターに出世しているとともに、文字通りそのこぶしの力もパワーアップしています)。この女優さん久保山智夏さんという方だそうですが、失礼ながら有名な方ではないですし、いい意味で本当にその辺にいそうな方です。だからこそいいのです。不思議なことに、男性であれば、最初はなにも意識していないのですが、シリーズを見続けているうちに、だんだん恋をしてしまっているような、そんな人です。
そしてカメラマンの田代を演じているのが、なんと白石監督自身。基本的にカメラを構えているのでほとんど映りませんが(ということは撮影も監督自身)時々映るその姿からは、ああ、この人はやはり人間的に魅力のある人に好かれる人なんだろうなあ、決して偉ぶるようなことはない人なんだろうな、という印象を受けます。

まあ、まずは騙されたと思って3作目ぐらいまで見てみてください。1作で終わらず3作目ぐらいまで見るというのがポイントです。1作ずつの時間はそんなに長くないので見やすいでしょう。そうすると、いつのまにか、あなたは自分がこの作品世界に引き付けられてしまっていることに気づくでしょう。確かに、一つ一つの作品はそれほど傑作でも名作でもないのですが(ちなみに「怪奇」という点では、故大林宣彦監督も「怪奇」であることにこだわっていましたが、大林監督へのオマージュ的な要素も確認できます)、しかし、この作品の世界自体が一つの作品として優れているのです。そしてハマってしまった人は最後まで見続けるでしょうし、今回の劇場版にも足を運ばずにはいられなくなることでしょう。さらに付け加えれば、今回の劇場版にもまた魅力的な新たなキャラが登場してきます。


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