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Amazonプライムビデオお薦め 36 『時をかける少女』(アニメ版)

今回お薦めする映画はこちら、細田守監督によるアニメ版『時をかける少女』です。

細田守監督の作品は前回、『竜とそばかすの姫』以前の最高傑作として『おおかみ子どもの雨と雪』を紹介しましたが、改めてスタジオ地図の第1作にあたる『時をかける少女』を見てみたら、やはりこれもスゴイ!と思いました。『時をかける少女』はご存知のように大林宣彦監督、原田知世主演による名作がありますが、それに負けず劣らずの名作を同じ原作から作ってしまったというところがまずはスゴイです。負け戦に挑んで勝ってしまうといったところでしょうか。

前回は、いかにアニメで人間を描くか、が細田作品に共通するテーマだと書きましたが、それにも関連してきますが「もう一つの世界」というのも細田監督の作品には共通してみられるモチーフです。ここでは「タイムリープ」、あるいはそのような能力を身につけることのできる世界(=未来)がそのもう一つの世界に当たります。映画自体が、観客にとってのもう一つの世界なのですが、アニメはさらに「絵が動いている世界」という意味で、異次元の世界です。つまり観客は異次元の世界においてもう一つの世界を体験する、あるいは除き見るわけですが、それは逆の視点から見れば、こちら側が「もう一つの世界」であることを示唆させます。そしてそれはいわゆる「メタバース」の世界を意識させます。最新作『竜とそばかすの姫』がいわゆるVR世界を描いているのもそれに通じるでしょう。そしてそのメタバースにおいても、そこに存在するのは自分自身なのです。「いかにアニメで人間を描くか」というテーマに戻れば、メタバースの世界においてはアニメの世界であっても当然「人間」は存在する事になります。たとえそれが「絵」であっても、それはある意味「絵」=「キャラクター」というアバターをまとった人間なのです。

おそらくこの映画を見た人の多くがそう思いますが、ここに出てくる人間たちは、特に主人公の真琴は生き生きしています。声を担当した仲里依紗の名演によるところも大きいですが、そこにいる「絵」=「キャラクター」には命があります。そしてその命に私たちは感動します。

名作ですので未見の人は少ないかと思いますが、まだの人は是非、既に見た人ももう一度是非見てみてください。

お薦めです!

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