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スポーツ業界への転職準備【業界研究編】

こんにちは。PLMキャリアの藤井です。
『スポーツ業界への転職準備【企業研究編】』と題した記事を先月お届けしましたが、その後PLMキャリアで面談を行った求職者様の中に、この記事を参考に早速志望企業について調べ、実際に球場の視察へ行くなど行動に移してくださった方がいらっしゃいました。お伝えした情報が少しでも、スポーツ業界への転職を目指す方のお役に立てたのであればとても嬉しいです。

そこで今回はその続編として、転職準備【業界研究編】をお届けします。一般にスポーツ、中でも特にプロスポーツというのは毎晩のスポーツニュースで試合結果が報道されるなどメディア露出も多く、またご自身がファンとして豊富な観戦体験をお持ちの方も多い世界です。そのためその延長で、スポーツビジネスやスポーツ業界についてもよく知っているものと自認している方も少なくありません。しかしながら実際にはあくまでファン向けの情報を受け取っているに過ぎないことも多いのが実情で、転職先やビジネスとしてのスポーツを考える際には、ファンとしての立場とはまた別の考え方で情報収集、すなわち業界研究を行う必要があります。

 

スポーツ業界研究のポイント

というわけでここからは早速、スポーツ業界研究について具体的に紹介してまいります。

①    スポーツ業界の構造を知る

必ずしもスポーツ業界に限ったことではないですが、最初の重要ポイントは「まず業界の全体構造を知る」ということです。「スポーツ業界」「スポーツビジネス」といった言葉そのものは様々な場面でよく耳にしますが、具体的にはどのような業界構造になっているのでしょうか。

実はこれにも様々な解説方法がありますが、今回は平成30年にスポーツ庁が発表した報告書で紹介されている、スポーツ産業の概念図を援用したいと思います。下の図をご覧ください。

平成29年度「スポーツ産業の成長促進事業 ③スポーツ関連新事業創出支援事業」報告書
新たなスポーツビジネス等の創出 に向けた市場動向(平成30年3月)
https://www.mext.go.jp/sports/content/20200330-spt-sposeisy-300000950-01.pdf

ここでは前提としてまずスポーツそのものを、プロ野球のような「みるスポーツ」、フィットネスクラブやヨガスタジオのような「するスポーツ」、そして大会運営や地域スポーツといった「ささえるスポーツ」という、3つの分野に大きく分類しています。全てを説明しようとすると非常に長くなってしまうため、今回の記事では弊社がプロ野球関連企業であることも踏まえ、「みるスポーツ」としてのプロスポーツに焦点を当て、上図の4つの層について解説します。

①コンテンツホルダー
「スポーツ業界」と聞いて皆さんの多くが真っ先にイメージされるのが、プロ野球の球団やJリーグクラブ、Bリーグクラブなどではないでしょうか。実はこれらは皆、上図の中で「スポーツコンテンツ」と表記された濃いオレンジ色の枠内に位置する企業になります。これらの企業は自前で独自のコンテンツを保有しており、「コンテンツホルダー」と呼ばれています。(各球団の他には選手個人の肖像権等を管理するマネジメント会社なども、同じくこの枠の中に入ります)

選手や球団がコンテンツとしての価値となり、その価値を活かす形で試合興行やグッズ販売といったコンテンツビジネスを展開しています。まずこのスポーツコンテンツそのものに大きな価値があるからこそ、上図のオレンジ部分を取り囲む周辺のビジネスも成り立つのです。そのためコンテンツホルダーには、様々な角度からの取り組みを通じて常にコンテンツの価値を高める努力が不可欠です。各球団のビジネスサイドのスタッフは、勝敗や順位といったチーム状況も鑑みながら、マーケティング施策やブランディング強化などを通じてコンテンツ価値の増大とビジネスの拡大に努めます。

ちなみに球団のコンテンツ価値を高める上で最も確実で即効性のある方法は、チームが強くなり優勝することです。これは同じ球団でもビジネスサイドでなく、監督・コーチ・選手など現場の努力によるものですが、やはり優勝チームともなれば自然にファンもメディア露出も増え、分かりやすくコンテンツの価値が上がってビジネスも拡大します。

とはいえスポーツの勝敗というのは容易にコントロールできるものではないのも事実で、だからこそ球団のコンテンツ価値を高める「スポーツビジネス」の視点を持った、ビジネスサイドのスタッフの仕事が大きな意味を持ってきます。

②コンテンツ周辺ビジネス
次に、上図のオレンジのエリアを囲むグレーのエリアですが、ここは中心部のようなコンテンツそのものでなく、コンテンツの価値をうまく活用する形で展開されるビジネスを含みます。具体的には広告宣伝、スポーツ用品、配信、チケットサービスなど様々な業種の企業がこの中に含まれており、図のオレンジ枠内に位置する球団やクラブと直接ビジネスを展開している企業も数多く存在します。「みるスポーツ」におけるコンテンツビジネスを、それぞれの専門分野の事業を通じて支えている企業群です。

③スポーツ×IT
続いて上図におけるもうひとつ外側の薄い黄色のエリアには、スポーツを活用したIT関連の新しいビジネスが記載されています。この領域は、今後市場が拡大していく成長産業領域と考えられています。スポーツ×ITの領域は、コンテンツホルダー側である球団などもシステム導入の実証実験を行ったり、スタジアムのキャッシュレス導入やマーケティングのデータ活用を行うなど、少しずつ進めてきてはいるものの、まだまだ大きな参入余地や発展可能性のある領域です。ですので、この分野でスポーツに携わるチャンスも大いにあると考えられます。

④スポーツ×〇〇
最後に上図の一番外側のエリアは、観光、教育、医療など、他産業の中でスポーツが活用されるビジネスです。例えば、観光産業では、スポーツ資源と旅行・観光のツーリズムを組み合わせたスポーツツーリズムという事業や、医療や健康領域のヘルスケア事業などがあげられます。このエリアはコンテンツ側からは少し遠いようにも見えますが、先日の記事でもお伝えしたように、「スポーツ×〇〇」の「〇〇」に様々な業種や事業が入ってくることでスポーツ産業の市場そのものが拡大・成長していくことになりますので、実は大きな可能性を持った領域であると言えます。

このように、スポーツ業界を俯瞰してみると、スポーツに関わるビジネスは幅広く展開されていることがわかります。言い換えると、仕事としてスポーツに関わるチャンスはこれだけあるということです。ですので将来的にスポーツ業界を目指したい方は、こうした業界研究を通じてスポーツ業界内での職業を更に具体的に知っていくことで、今後のキャリアを構築するヒントが得られると思います。

 

②    ファクトを調べる

俯瞰的に業界の構造を把握したら、次はより具体的にファクト(事実)を調べてみましょう。ここで言うファクトとは、業績推移、事業内容、将来展望など、業界の実際の情報のことです。一般的な業界研究における情報収集の方法は、多くの転職サイトなどに記載されていますので、ここでは詳細は割愛しますが、企業研究の記事でもご紹介したように、『業界地図』や『四季報』を含む関連書籍を読む、インターネット、新聞、ビジネス雑誌などのメディアに目を通す、スポーツ業界のセミナーを受講するなどの方法があります。実際にスポーツ業界内で働く個人に話を聞くことも手段のひとつですが、その人ごとの知識や経験、置かれている環境によって個別性の高い情報となりますので、ひとまず初期の段階では、ざっと広く浅く、自分でファクトを集めてみましょう。最終的に個人の話を聞くとしても、基礎知識があった方がより深く理解でき、具体的な質問ができるようになります。このあたりは、どの業界を研究するとしても大きな差異はなく、同じような手法でインプットできると思います。

またインターネットの情報収集では、開示されている経営情報を知ることも出来ます。Jリーグ、Bリーグでは以下の通り、公式サイトにて経営情報が公開されていますので、こういった数値を読み取るのも、業界研究のひとつの手段です。

■Jリーグ 経営情報

 ■Bリーグ 経営情報

下記の記事では、プロ野球ビジネスを知ることができるおすすめ書籍を3冊ピックアップしましたので、ご参考にしてください。

様々なファクトを集め、冷静にスポーツ業界へ転職するか否か判断することも重要です。「スポーツが好きだからやってみたい」「何となく楽しそう」といった前向きなイメージを持つことはもちろん大切ですが、それだけでなく、キャリア選択においては事実を見つめ、ご自身の価値観とも照らし合わせて転職の判断をしましょう。

 

スポーツ業界の「どこで」活躍したいのか

このように業界研究を進めてみると、同じスポーツ業界内にも様々な業種や職種があることに気付かされます。逆に言えば漠然と「スポーツ業界」を目指すだけでなく、「スポーツ業界で何をやりたいか」を明確にできているほど、自分の目指すべき業界内でのポジションが具体的に定まってきます。自分がやりたいことができたり、これまでに培った経験やスキルを活かして活躍できるポジションはスポーツ業界の「どこ」にあるのか、それを見極めていくことが大切です。その結果、例えば球団志望だった方が球団外の企業にその場所を見つけたり、あるいはその逆のことが起こったりすることもあるものです。「目指す仕事」「業界の構造」をよく調べることで、自分が業界内で取るべき立ち位置や働き方が明確化した結果です。また最近は個人の得意領域やスキルを活かして、ひとつの企業や法人に所属せず、副業や業務委託契約という形でスポーツ業界の仕事を受注して活動している方もたくさんいらっしゃいます。

キャリアプランの在り方として、周辺ビジネスで経験を積んでからコンテンツホルダー側へ転職するというのもひとつの道です。現在、球団で求人が出ている営業、MD、マーケティング、ITなどのポジションも、その分野での経験を前提とした中途採用が多くなっていますので、自分の得意領域で経験を積んでからキャリアチェンジすることの方が、現時点ではスポーツ業界への転職実現の可能性が高くなります。業界研究をすることで、キャリアプランの選択肢を増やしたり、自分が業界内で活躍できるポジションを見出すことが出来ます。


以上、今回はスポーツ業界への転職【業界研究編】をお伝えしました。
スポーツ業界のことが少しクリアになりましたでしょうか?業界研究を行い、自分はスポーツ業界のこの領域で働いてみたいという方向性が見えてきたら、企業研究へとステップを進めてください。自分の手で調べるからこそ気付きがあり、考えが深まります。その気付きこそが、自己分析となり、具体性と説得力のある志望動機にも繋がっていきます。簡単ではないですが、少し時間を取って、出来ることから調べてみていただけたら嬉しいです。

PLMキャリアでキャリアアドバイザーと面談をされる方は、業界研究や企業研究のことなどもアドバイスさせていただきますので、お気軽にお尋ねください。いつでもお待ちしております。

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