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自然はうつろう

一向に収まらないCOVID-19の拡大だが、人間の騒ぎなどお構いなしに自然はうつろい春は訪れる。今暮らすマレンマの農園でもぶどうの剪定から植樹と春の作業が着々と進められている。

「コロナの拡大で不便な生活だけど、おかげで違った生活を新発見できた」とはいつも忙しくしているブドウ生産者の言葉。私も同様で、台所のテーブルで仕事をするその横で娘が遠隔授業を受けている。ラテン語の授業ってのはこんなものなかとか、かなり高度な数学をやってるんだなとか横目に見ながら同じ時間を過ごしている。この騒ぎがなかったら家族ともこれほど同じ時間を過ごすことはなかっただろう。外出は原則禁止で不自由な生活だが、紛争に巻き込まれた訳でもなく、家がなくなった訳でもない。四六時中家族と一緒という不思議な時間といえば不思議だが、こう感じられる時間を持てることに感謝している。フジの花が日ごとに糸杉とのコントラストをつよめていく様を眺めて仕事をするなんて想像できただろうか。大切なものは一体なんなのか、そんなことを春の陽をながめながら考えている。


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