虹かかる夜

月に虹がかかり、一つ一つの電灯に虹がかかる夜。

なんだか街がやさしく包み込んでくれるような夜がたまにある。

今日はそんな夜だ。

こんな日は、バルセロナの街を思い出す。

自慢ではないが、私はバルセロナの街に3度抱かれたことがある。

最初に訪れたのは世界一周の最中で、
バルでピンチョスを一つとワインを一杯嗜み、寝場所を探して歩いていた。

少し霧がかった夜を徘徊し、静まり返った街を堪能する。

賑やかな昼とはまた違う、オレンジのやさしい色をした街の顔に安堵する。

この街に見守られて眠りにつきたい。

そう思い、サグラダファミリアを目指して歩き、彼女の顔が見える寝床を探す。

サグラダファミリアの目の前には公園があって、その中に犬を遊ばせるスペースがある。

ちょいと柵を開けて中に入り、木の下にバックパックを下ろす。
寝袋を取り出して横になると、ふくよかな土の香りに包まれる。

春の訪れを待つ土の香りと、今なお未完成で、しかし驚くほど悠然としたサグラダファミリアに守られながら眠りに落ちる。

こんな夜は、いつもより少し優しい夢を見る

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