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Team USAが教えてくれた“小さな幸せ”

“渋谷駅の中で、アメリカ代表の6番は何も言わずにベビーカーを抱えた。女性は満面の笑みで感謝を伝える。その時、忘れていた感情と再会した”

2019年10月。死の組と言われたグループCでアメリカ代表は苦しんでいた。イングランド、フランスといった強豪に敗れ、決勝トーナメント進出は厳しい状況。グループリーグ3戦目は熊谷で行われるアルゼンチン戦。前回大会ベスト4を相手に、この試合も苦戦が予想されていた。試合の2日前、チームにオフが与えられた。長期決戦であるワールドカップの醍醐味である観光のチャンスだ。

実は大会前から大学時代のライバルであり友人のCameronとは連絡を取り合っていた。彼はアメリカ代表のNo.8で副キャプテン。今や国を代表する素晴らしいリーダーだ。

そんなCameronが東京駅にやってきたのは午前11時頃。190センチを超える爽やかな巨人に周りはザワつく。彼は開口一番懐かしいことを言ってきた。「パンケーキが食べたい」

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ムリもない。1か月間日本食ばかり食べてきたんだろう。パンケーキやハンバーガーを食べたい気持ちは痛いほど理解できる。我々は銀座のHappy Pancakeに向かった。やはり現役。4枚くらいのパンケーキを一瞬で食べて、満腹そうな私のパンケーキも一瞬で食べてしまった。さすが代表選手だ。

その後、TonyとMullenも合流した。2人とは初対面だったが、すぐに打ち解けた。Tonyはニュージーランド出身でMullenはアイルランド出身。社会人リーグからアメリカでプレーを始め、代表まで上り詰めた。Mullenは気優しい性格、Tonyは自由でよくしゃべる、Cameronと私はそんな2人のまとめ役だ。

銀座から築地へ移った我々は、路上で売られるタコやイカに仰天の声を上げながら(海外ではタコやイカはあまり食べない)、路上だけで1万円分ほどの料理を食し、すしざんまいへ。食べる量もまさにワールドクラス。パンケーキを食べてから1時間しか経ってないから苦しかったけど、巨人たちの箸は止まらない。感心だ。

築地を楽しんだあとはワイルドスピードのTokyo Driftの舞台を見たい!ってことで渋谷へ。ここで冒頭の出来事が起こる。

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渋谷駅に着いたとき、改札内は混み合っていた。階段にもたくさんの人。そんな中、子供連れの女性がベビーカーを抱えて階段を降りようとしていた。その時だ。USAのレギュラーフランカーであるTonyは誰よりも早く反応し、ベビーカーを抱えた。女性に「I got you」と声をかけると、女性のペースに合わせて階段を降りたのだ。

海外では当たり前かもしれないが、日本では中々見れる光景じゃない。女性は満面の笑みで「Thank you」と伝えた。Tonyも笑顔で「No Problem」と応えた。

きっとこの女性は残りの一日を幸せな気持ちで過ごせたはずだ。Tonyにとっては当たり前かもしれない“気遣い”が彼女の1日を作った。こんな素敵なことはない。

これまでの自分はどうだったんだろう


東京に住み始めてもうすぐ5年。その間インドに住んでいた時期もあるので実質4年弱だが、こういった気遣いが欠けていたと思う。

駅や電車で大変そうにしている人に手を貸すこともなければ、誰かが物を落としても知らんぷりだった。それが東京の当たり前。そんな暗黙のルールに甘えていたのだろう。

でもTonyの行動をキッカケに、公然の場での行動を見直すことができた。誰かが物を落としたら拾って届け、大変そうにしてる人がいたら声をかけて助ける。仕事もラグビーもコミュニケーションが大事。なんだってそう。そういう当たり前をTonyに教えてもらった。

多くの小さな幸せを提供できる素敵な人間になりたいと思った。小さな積み重ねこそが未来の自分を形成するはずだから。

終わり


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長文となりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。

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