アート・オブ・プロジェクトマネジメント 読書ログ2 優れたビジョンを記述する
4章 優れたビジョンを記述する
この章では、プロダクトを長期間作り続けるために不可欠な、プロダクトのビジョンをどうやって作るかが書かれています。
ビジョンとは、プロジェクト全体の目的のことです。プロジェクトに長期間取り組んでいると、全体で何を目指しているのかが曖昧になることがよくあり、そうならないための指針になります。企業のミッションやビジョンのプロダクト版のようなものです。
これは、言うは易しですが、実際はかなり難しいですよね… (^^;)
自分も作った経験はありますが、出てくる言葉は氷山の一角で、そこに現れていない検討や想いがものすごい量あるので、まとめるのが一苦労、さらにチームに浸透させるのは一体どうすれば良いんだというシロモノになりがちです(そこらに貼っておくとか毎日唱えるとか…)
自分の話はさておき、本書では優れたビジョンについてこのように記載されています。
シンプル
プロジェクトの取組みをシンプルにすること。初期はメンバーで議論するうちに注釈をつけたり手垢にまみれて使っていくべきで、常に参照できるところにおいて改定していくこと。
意図重視(目的駆動)
目的を明確にすることで、プロジェクトで何を達成したら終わるのかが分かるようになる。優れた目標を記述するSMART(Specific:具体的, Measurable:測定可能, Action-oriented:行動志向, Realistic:現実的, Timely:タイムリー)というフレームワークが便利
統合
ビジョンに用いた調査や資料などを一つの場所にまとめておき、読み手がさっと読むだけで把握しやすくしておくこと。補足資料は別にまとめてアクセスできるようにしておくこと
閃き
チームが興味を持っていて解決できる明確な問題を提供して、メンバーに閃きを与えられること。技術的な問題ではなく実世界の問題を解決するということをチームが理解できるもの
覚えやすい
筋が通って興味をそそる、共感を得て長期間記憶に残る、この2点が大切
優れたビジョンの例
(サービス名)は、中規模企業向けのウィジェット販売代理店として、インターネットにおける第一級のサイトとなる。このサイトにうよって、中規模企業向けのウィジェット購買プロセス全体がシンプルなものとなり、手軽に、かつ安全に行えるようになる。
だめな例
台所の流し型(何でも当てはまる)…曖昧すぎるのでNG
意味不明型…かっこいい言葉を使ったつもりが誰にも伝わらないのでNG
超弱気型… 仮、とか一時的なもの、とか。結束力につながらないのでNG
役員が言った型… 誰かが言ったというのは納得感のある理由にならないのでNG
その他のTIPS
ビジョンはビジュアルになっているべき
見えないものをビジュアル化することで、伝わりやすくなる。
これはまさにそのとおりだなと思いました。
日々の確認
毎日見えるところに掲げて活用する。
ビジョンを元に意思決定をして、有効性を日々確かめておくこと。
活用するのが大事。
ビジョン作成は難しいですが、一度合意を得られれば、大変強力な武器になると思います。プロダクトごとだけでなく、バージョンごとにも作っていけると良さそうに思いました。
次回は4章〜6章の要求〜解決策を作って仕様に落としていく前までを読んでいきます。
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