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『好き』の搾取
『〇〇が話聞いてくれないなら、のすけも話し聞いてあげたくなくなるよ?!いいと?!』
もう片付けるよーと何度言っても片付け始めずニコニコしながらこちらを見て遊び続ける3歳児相手にこう伝えると、スッと顔が曇って首を横に振る。
この子が僕のことをある程度好きでいてくれてる自覚があるからこの言葉を選んだんだ。この『好き』の使い方ずるい気がするなと思ってしまった。
間違っちゃいない。
話を聞かない人の話なんて誰も聞いてくれやしない。
でも、今回のは事実を伝える以上の恐喝のような脅しのような狡さを含んでしまっている。
別の子のお話。
同じことを何度も言ってこちらもかなり顔も厳しくシビアに『いい加減にやめてください』と伝える。
こういう時に彼はギュッと抱きついてきて『のすけ先生、大好き』と言ってくる。
ずるい。僕はフツフツとした感情を持ったまま顔もムッとしたまま『のすけも大好きだけど、、、!』と返す。
のすけも大好きだけど、今言うのは好意の使い方が少しずるいじゃないか!好きの搾取じゃないか!と心の中では思っていた。
その時は、ずるいけど可愛いけどずるいよなぁなんてモヤモヤしていたけど、僕の怒り方が悪くて『もしかして嫌われたのかも』と不安にさせたのかもしれないと後から反省した。
彼の大好きが、ずるい考えのもと生まれた発言なのか、怒られて嫌われてる気がして不安になって確認のための大好きなのか分からないし、僕も『好き』を盾に使いたいわけじゃない。
言うことを聞くから、好きでいてくれるから、いい子だから好きなわけじゃない。あなただから好きなんだときちんと伝わるように言葉も態度も選んでいきたい。
好きな人の話は聞きたいと思うじゃない。
でも、話を聞いてもらうために好きになって欲しいわけじゃない。この感覚を忘れずにいたい。
大好きだよって出来るだけたくさん言葉にしたいと思って過ごすと、その分たくさん大好きと言葉で返ってくる。そのために大好きって言ってるわけじゃないけどさ、分かっていても、何度目だとしてもやっぱり嬉しいんだ。
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