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東京の保育士が1年で辞めて地方に移住した話

 「上京」と言えばやっぱり芸能界の人たちや起業家、ミュージシャンのチャレンジとして。とか、大企業や今を誇るベンチャーでバリバリ・・・みたいなキラキラしたイメージがある中で僕は「保育士」として上京しました。

 保育士といえばローカルtoローカルな職業で、基本的には「家に近く」の職場を選びがちですが、偶然ご縁があった方に誘っていただき、まさに勢いで上京しました。

 それもあっという間に1年経ち、そしてあっという間に東京を出ることになりました。

 こんな生き方、保育士という仕事の捉え方もアリじゃないかなと個人的に思っているので保育の世界で頑張っている誰かのヒントにでもなればと思っています。

なぜ保育士か

 僕は元々、小さい頃から保育士になりたいと言っていました。ただ別に強い情熱があるわけではなく、なんとなく子どもが好きだったので保育士を目指していました。

 学校では「将来の夢」があるとそれなりに「考えている子」でいられたし周囲の声も悪くはありませんでした。そしてそのまま教育学部のある大学に進学しました。

なぜ東京に行ったのか

 学生時代、「どうせやるならちゃんとやろう」的な精神で保育を学び始めました。そこで出た結論としては「現場に行かないことにはダメだ」という結論でした。(書籍や論文を否定はしていません)

 そこで、地元福岡の保育所幼稚園を片っ端から見学・実習し、長崎や東京など県外にも出ていきました。

 そんな一人園ツアーの途中で出会ったのが東京のとある園。思いのある園長先生がつくられた園で、奇跡的に声をかけていただき、働くことになりました。

保育業界の課題ってたくさんあるよね

 学生時代から保育を学んでいて、面白くないなと感じた事がいくつかありました。

 1つは大体保育士さんが息苦しそうに働いている事です。保育士の普段の業務は大変多忙です。保育には一般的に計画→準備→実践→記録…のような形で進んでいくのですが、保育所での時間はほぼすべて「実践」に終始します。(ずっと子どもがいるからです)

 つまり、計画や準備、記録の時間を確保するのが8時間内だと困難極まりないのです。なのでよく聞く「持ち帰り」などというようなまるでボランティアのような事がまかり通ってしまうのです。

 もちろん上手にやっている園もあります。ですが一般的に、疲弊している先生方を多く見てきたのは事実です。

 おそらくつらそうな顔は労働条件だけではなく、例えば実践している「保育」内容そのものに色々と課題があるのかもしれませんが、その辺りはいつか別でまとめたいと思います。

 さて話が少しそれましたが2つ目、それは「閉塞的」という事です。

 保育の世界は狭いのです。基本は毎日保育所に行き、子どもたちと生活をする事。多様な人と出会い、意見を交わすような経験や色々な刺激を受ける経験などあまりありません。

 さらに、保育所には暗黙知的に「保育士が全てやることに意味がある」みたいな風潮があります。担任が丹精込めて準備すること・・・だとか、何をするにも外部の力はいりません・・・のような、保育所万能論があったりします。

 保育所は子育てにおける地域の中核を担う存在です。もっともっと開放的になってほしいな、保育所で働く事が面白いというような世界観になってほしいなと思っていました。

 ちょっと保育所の課題感を書き始めるとえらく長くなってきたのでまたこれも別でしっかりまとめます・・・(笑)

なぜ移住したのか

 さて、もう察しがついたかとは思いますが、僕は保育業界の課題を解決したいと思ってきました。それもICTサービスを導入する!のような形ではなく、本質的な保育の部分に突っ込んで面白くできないかなと、半ば妄想に近い事を思ってきました。

 そういう願いを持った中、出会ったのが今移住した先である島根県津和野町です。この町で今年から「幼児教育コーディネーター」なるポジションを作るというお話をいただき、二言返事で移住を決めました。

 *幼児教育コーディネーターというと知っている方は文部科学省の幼児教育センターに関する事業関連を想起するかとは思いますが、文科の事業とは別文脈です。

移住して何がやりたいのか

 僕は、閉鎖的で旧態依然な保育ではなく、その逆でもある開放的で刷新的な保育を目指したいと思っています。(詳しくは別に)

 外部からの関わりになるので出来ることは限られてはきますが、保育士さん達と協働して、町全体で保育が魅力的になり、保育所が働きやすい場所になり、そして町全体の教育が良くなり、何十年後かに、この町で育った子ども達が、この町、いや日本・世界をよりよくしてくれる存在になって欲しいなと思っています。

最後に(保育士としてのキャリアについて)

 「保育士になりたい」という人は少なくはないです。ただ保育士になって「何がしたい」という事が語れる人はとても少ないんじゃないかと思っています。

 僕はもっと保育士が人材の流動性が高く、柔軟なキャリアになって欲しいと思っています。3年くらい保育士をやった後に、会社に入ってみたり、アカデミックな世界にいってみたり・・・その人の人生の「1部分」でもいいんじゃないかと思っています。

 もっともっと保育士というキャリアに色々な人が関われるような職になり、風通しのよい保育所がたくさん出来ることは、子ども達の育ちにとっても大変価値のある事かと思います。


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