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グリーンジャーニーという旅を終えて

昨日、Manahattan96「白昼のグリーンジャーニー」の千秋楽が終了した。

そして翌る日の今日。
空は訳がわかんないくらいの快晴。昨日のあれは夢だったんじゃないかという気にさせられる。「この世の全てを断捨離して、新しい世界を作りました」みたいな。

昨日まではお客さんの前に立って、笑いや涙や拍手を浴びていたのに、今日から途端にそれが途絶えたのだ。
心身がバグる。昨日までとは違う、自由な一人の時間をエンジョイしているはずなのに、心の中では虚脱感が生まれ、体はむずむずする。
「#白昼のグリーンジャーニー」でのエゴサを試みるも、昨日から大した更新はされておらず、出演者の皆が「お疲れ様でした!」「楽しかった!」と感想や振り返りを連ねているのを眺めるばかりだ。

良い公演の後は、いつもこのような気分にさせられるのだが、今回に関してはひとしおだ。
タイトル通りの長旅から帰ってきたような感じだ。「楽しかった」という一言に集約するのは勿体無い。

正直、今回の公演はここ最近の中で一番緊張した。
ここ最近というのも、学生時代のような青い時代を経て、自分が俳優としてようやく自立しただろうという実感を持った後からだから、実質俳優人生で一番と言っても良いだろう。
もしかしたら自分の心身の体調も影響しているとは思うが、とにかく「うまくいかせたい」という気持ちが強かった。
特に自分のパートは客入れの時のコミュニケーションやインプロという不確定要素の多い部分かつお客さんとの繋がりを作る部分だったから、余計にプレッシャーを感じていた。
それは何よりも「この作品を自分の手で台無しにしてはいかん!」という程に、作品そのものが素晴らしかったからだ。

OP/S1「白昼のグリーンジャーニー」

オープニングはとにかくかっこよかった。僕が今まで演じ、観た中でも間違い無くトップクラスに。「これを完璧にやりたい!やって見せたい!」という高揚感が、始まる前からあった。

S2「プリザーブド・キャバレー」

その後のキャバレーシーンもかっこよく、セクシーでクールだ。「始まったぞ!どや!見ろ!」という主張を全面に出したシーン。洗練された歌とダンスで「こいつらはただもんじゃねえ…」という印象を抱かせるには十分だった。

S3「トウガラシンドローム」

その後に続く唐辛子のシーン。内容と衣装のくだらなさ&ポップさで「あ、レビューってのはなんでもありなんだ」と気楽にさせてくれる。大人が全力でふざけてる様はいつでも面白い。

S4「かわき」

いおりん一人芝居。初めて観た時は衝撃を受けて、稽古場拍手喝采だった。僕は泣きそうになった。多分こういう人はいると思うし、僕もそんな時期があった。この後の出番があるので、舞台袖でしっかり観れないのが悲しい。

S5「ソウゾウの種」

インプロシーン。ピカルは最高のパートナーだった。面白さと人を惹きつける強さの両方を持っていた。だからやりやすかったし、楽しかった。ここの「ソウゾウ」は「想像」でもあり「創造」でもある。インプロやっててよかったなあと思ったシーン。

S6「目に見えないところ」

今作で最も意味不明と評判のシーン。シーンリストには「ダンス」と書かれていることも一層謎を膨らませる。このシーンはとにかく顔。顔でどれだけ表現出来るかだし、だからこそ身体全体を顔化する必要もあった。やってる側からすると、何も考えずに出来るシーンでもある。

S7「しずく」

再びのいおりん。「小さな箱から脱出する方法」というベストセラー本を思い出す。でもここでは脱出するというか、むしろ箱に囲まれていることを楽しむという旅をしている。箱と遊ぶ身体と照明が美しいシーン。

S8「ふたつの鉢植え」

かんちゃんとしんちゃんの二人芝居。稽古場では創作に苦戦していたが、やるたびに心を動かす箇所が増えていった印象。常に新鮮さを失わずに交流し続けた結果だと思う。いくつも刺さるセリフがあり、15分の作品とは思えない濃度。

S9「You are perfect enough」

そして突然の良い歌。植物の視点から描かれた詩を歌にしたような。それぞれの身体が開いている場所が違うのも植物っぽい。それぞれの光に向かって伸びる植物のよう。この4体は繋がっているのか、別々なのか。

S10「ここからどこへでも」

想像力をテーマにした短編ミュージカル。植物語が出てくるのが斬新。何を歌っているのかはわからないが、わからないからこそ、想像力で補完することが出来る。人間の頭の中では、常にこんなことが行われているのかもしれない。

S11/ED「無限の愛の庭」

最後は全く言葉が使われず、抽象度は頂点へ。僕らはここまでの旅路を胸に、植物を見つめ、踊りを見つめ、育てた木を見つめる。過去と今と未来が同居しているシーン。いつも涙が出そうになるのだ。

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とまあ、勢いでここまで書いてみた。

どれだけ僕がこの公演を愛し、作品を尊敬していたか、伝わったら幸い。

僕はこれから映像で観る。初めて正面から観ることにドキドキする。
この公演の唯一の心残りなのだ、お客さんとして観れなかったことが。

今回来れなかった人、そして同じように作品にもう一度感動したい人に、是非とも映像を観てほしい。期間は11月5日の21時までなのでお気をつけて。

また、デジタルパンフレットも同時に発売しているので、こちらもよかったら。これは31日今日中らしい!
出演者全員の植物に関するエッセイ、台本やフォトを見ることが出来る。購入すればすぐダウンロード出来る簡単設計♪

今後しばらくはインプロや指導の活動に戻る。
ワークショップ、公演を積極的にやっていくので、是非ともチェックしてほしい。

特に下記WSは、当公演で用いた手法を使うので、興味のある人は是非参加してみてほしい。

最高の旅でした。ここから新たな旅路へ、また。

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