見出し画像

即興で興味深い長編演劇を作るための10箇条

インプロ(即興芝居)は今年で12年になります。
最初は短いシーンを中心に作っていたのですが、段々と60分くらいの長編演劇も作れるようになってきました。
そんな今の僕が思う、特に長編演劇を即興で作る10箇条をまとめました。一般の役者さんにも大切なことがたくさん混ざってます。
では、どうぞ♪

1 ゆっくり演じよう

一番大切なことを一つだけ選べと言われたらこれです。
基本、インプロをやると皆演技が早くなります。たくさん動いて、たくさん喋ります。これは不安だからやってしまうことで、それによって生まれたものはとても空虚なものになります。
まずは落ち着いて、深呼吸して、そこから始めましょう。まだ何も起きていないのですから。

2 言葉を少なくしよう

1と繋がっているのですが、焦ると人はたくさん喋ります。たくさん喋ると情報過多になり、頭でたくさん考えるようになります(自分もそうだし、パートナーもそうさせてしまう)
なので、相手のためにも、言葉は少なくしてください。特に最初は3秒に一言喋るくらいで十分です(もっと待ってもいいくらい)。そうして徐々にキャラクターが立ち上がってくると、喋りたいことが勝手に浮かんできます。それまで待ちましょう。

3 マイムで空間を作ろう

言葉よりも大切なのは身体です。なぜなら言葉と違って、目に見えるものだからです。
なので、身体を使って、マイムをして、空間を作ってください。本を読んだり、掃除機をかけたりするだけで、どんな場所なのか、キャラクターなのか、相手にもお客さんにも伝わります。そしてその方が想像力を掻き立てるのです。言葉で説明してしまうと、その機会を奪ってしまいます。

4 WhatよりもHowを大切にしよう

何(What)をやるかはそんなに重要ではありません、どう(How)やるかが重要です。神経質にやるのか、幸せそうにやるのか、寂しそうにやるのか…、これらがキャラクターを作ります。
ちなみにこれらは何もやってなくても作れます。ただ立っているだけでも、その人にはHowがあります。そしてそこが掴めれば、関わっていくきっかけを掴むことが出来るのです。

5 自分と相手がいればもう十分だと思おう

ここまでお伝えしたことを集約した言葉です。
シーン冒頭からアイデアを出そうとしなくても、舞台上には既に自分がいて、相手がいます。もうそれで十分なのです。
自分が何を感じているか、相手がどう見えるか、そして何をやってるか…、十分過ぎる程アイデアがあります。それなのに「まだ何もない!」と思ってしまうから、焦って喋りすぎてしまうのです。今あることに気付きましょう。

6 アイデアは発明するのではなく、発見して発展させよう

既にアイデアの種は自分と相手が存在するだけで生まれています。それを発見し、そこから発展させていくだけでいいのです。
自分が相手に好意を抱いていることに気づいたら「会えて嬉しい」「今日はプレゼントを持ってきた」「真珠のネックレスだよ」…
相手が寂しそうに見えたら「寂しそうだね」「タマはいつも一緒にいたからね」「でも今は私がいるじゃない、私のことを見てよ」…
全てこの場にあるものから発展させています。今この場にないものを発明するのではありません。「競馬に勝った!万馬券だ!」「ところで最近新しいビジネスを始めたんだけど」…やりがちです。

7 相手のオファーを感情的に受け取ろう

相手が言ってくれたり、やってくれることは、全て自分にとって大事なことです。「そうなんだ!(笑顔)」とか「なんだよお!(がっかり)」みたいに、感情的に受け取りましょう。そうすると自然と次に言いたいことが自然と生まれてきます。
「へ〜」とか「なるほどね」で済ますのはやめましょう。そうすると交流が止まり、自分で次のアイデアを発明せざるを得なくなります。
相手の力を借りる方が楽なのです。うまくやろうとすると、自分の力だけでやろうとして、相手の話を聞かない(聞いてるふりだけ)ようになってしまいます。

8 自分がどうしたいのかに気付こう

感情的に反応し合っていると、自分に「〜したい」「〜してほしい」という目的、欲求が湧いてきます。それが物語を進める核となります。
ストーリーとは「出来事の流れ」ではなく、「人物の感情の流れ」です。相手と影響されあい、感じたままに動いていけば、どこかに向かっていきます。
それは裏返すと未知に向かっていくということです。それを恐れるがあまり、人は相手からの影響を受けないようになり、話を聞かないようになり、自家発電してしまうのです。
自家発電は、自分にとって未知ではないから楽なのですが、観客からするとこれ以上つまらないものはありません。

9 考えてから行動するのではなく、行動して巻き込まれよう

目的や欲求が見つかっても、大抵の人は何かを起こすことに躊躇します。それは先がわからない未知だからです。
そうすると先にやることを説明し出したり、御託を並べ出したり、なるべく安全に物事を進めようとします。ビジネスならそれは大切ですが、ドラマでは興味深さとは真逆に働いてしまいます。
どうなるかわからなくても行動してみてください。むしろどうなるかわからないと思っているのだとしたら、そっちに向かうのが正解です。観客はそれを見てドキドキワクワクしたいのです。

10 自分の人生もチャレンジングにしよう

これまで伝えてきたことは、恐らく人生にも共通することかと思います。というか、人生も1つの即興演劇です。台本ありませんから。
だから、自分の人生が舞台上でも出るのです。普段から安全な選択を取る人、相手の話を聞かない人、考えすぎて後手後手に回ってしまう人は、舞台上でも自然とそうなってしまうのです。
なので、一番手っ取り早い解決法ないし練習法は、自分の人生を変えちゃうことです。そっちの方が稽古してる時間より遥かに長いんですから。
やりたいことにチャレンジしたり、未知へ向かっていったり、リスクを負ったり、人生でも心掛けてみてください。パフォーマンス、舞台上での在り方、全て変わりますよ。


この記事に興味を持ってくださった方は、是非ホームページも見てみてください。更に魅力的なコンテンツをたくさん用意しています♪


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?