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アプライドドラマ研究会プラクティショナー養成講座が始まります

2016年よりオーハシヨースケさんを講師に迎えてスタートした『アプライドドラマ研究会 プラクティショナー養成講座』は、これまで第1期〜第7期まで開催され、延べ40名のアプライドドラマ・プラクティショナーが誕生しました。

月1回5時間✖️全8回の講座で、アプライドドラマの核となる
🔸プレテキスト(進行台本)の創作手法
🔸ファシリテーション手法と理念
を身につけ、それぞれの使用目的(ビジネス、研修、グリーフワーク、幼児・学童教育、しょうがい者支援など)に適した “ すぐに自分の現場で使えるプレテキスト ” を創作するとても実用的な講座です。

今年度も7月9日よりアプライドドラマ研究会 [第8期]を開講します。
それにあたり、講師のオーハシヨースケさんに「アプライドドラマ研究会とは?」「プラクティショナー(実践する人)とは?」について寄稿していただきました。



心を整え、心を癒し、自己肯定感や自信、自己実現力を育てるアプライドドラマ!そんなアプライドドラマの「ひとの心を動かす」力に気づき、学ぶ、
それがアプライドドラマ・プラクテイショナー養成講座です。

「ひとの心を動かす」力、それは感情の力であり、想いの力です。この感情の力や想いの力を生み出す仕掛けを学ぶこと、それがアプライドドラマ研究会プラクテイショナー養成講座です。


別の見方をすれば、

日常とドラマを掛け橋する方法、それがアプライドドラマです。
日常とアートを掛け橋する方法、それがアートベースメソッドです。
その掛け橋を作る人、それがアプライドドラマ・プラクテイショナーなのです。


アプライドドラマ(演劇的手法)を授業に取り入れる

ある小学校にて … 社会科見学の報告リーフレット作りへの提案


千葉県の小学校の先生の例です。

小学4年生の国語の授業で、社会科見学の「リーフレットづくり」の単元がをありました。その授業の指導案には、リーフレット作りの過程が理論的に組み立てられ、その最後は「環境に配慮しゴミを減らしましょう」という呼びかけになっていました。

「何かつまらない!」と、養成講座の修了生 M先生はこの指導案に疑問を持ち、私にこの課題に入れる演劇的手法(アプライドドラマ)を相談して来ました。

私は、以下のように答えました。

M先生へ
ひとに何かを伝えるには、論理性はとても大切です。同時にその伝えた内容によって、人を動かすには、感情の要素が不可欠です。「環境に優しいゴミ処理のために、ゴミを減らしましょう。そのためにゴミの分別をしっかりやりましょう!」という事実を調べ、論理的にそのデータとともに組み立てまとめて書くことはとても大切です。しかし、それでひとは動くでしょうか!
世界的な行動経済学者マッテオ・モッテルリーニはその著書で「世界は感情で動く」と断言し、ダニエル・ゴールマンやピーター・サロベイらがEQ理論で示すように、行動の選択を促すには、感情的要素なしでは人を動かすことはできない、のです。
コミュニケーションとは、「情報を伝えることではなく、それによって人を動かすこと」(ピーター・ドラッカー『マネジメント』より)なのです。
以上の根拠により、この調べたリーフレットに、感情の要素を付加するなら、よりひとに働きかけるリーフレットになります。


       ・ if からはじまる身体表現を取り入れてみる


私は、3~4人の子供たちのグループで、ゴミ処理場を身体表現しているフィジカルシアターの写真を、このリーフレットに加えることを提案しました。

ゴミでいっぱいのゴミ処理場の顔の表情や、ゴミ処理場の苦しみ悶えなどを身体表現し、それ写真に撮りリーフレットに加えるのです。プラスチックゴミの有害な煙がいっぱい排出されて、周囲の鳥や木はどうなるのか?それも身体表現して写真に撮り載せます。
それに対して、分別されたゴミ量も少ない健康的なゴミ処理場は、いったいどんな感じになるのか?それも写真に撮り、リーフレットに載せます。

それぞれの写真の下には、キャッチコピーをつけます。それは単なるキャプションや説明ではなく、「もし私がゴミ処理場だったら」という演劇的な「 if(もし・・・であったら)」から生まれる、ゴミ処理場の感情や想いをキャッチコピーとして加えるのです。

"ゴミになってみた"子どもたちは何か感じるのではないでしょうか?
このリーフレットを観た人は、何か、心動かされるものがあるのではないでしょうか?


       ・なってみた子どもたちの感想

後日、M先生から上記の提案をもとに実際に授業で「ゴミ処理場になって表現してみよう!」と試してみたところ、子ども達もとても楽しんで学びを深められたそうで、子ども達の感想を送ってくださいました。そのうちのいくつかをご紹介します。

” ごみのきもちになってちがう(分別の)ごみがはいったらこんなにいやなんだと思いました"

電池になってみた子の感想

” ごみしょり場を表現して、大変だなって思った。「もったいないな」ってお友達が言ってて、自分でたしかにって思った。表げんすると、その表げんしたものの気持ちがわかってごみしょりじょうの人たちは大変だなって思った "

ゴミ処理場を表現した子の感想

”このじゅぎょうをやって、ごみの気もちや、えんとつの気持ち、もやす気持ちが少しだけ分かったきがしました。これからごはんをのこすりょうをへらしたり、分別をちゃんとせいかくにしたいです。(こんな気持ちだったんだな〜〜〜〜。)"

" もっと人が見えないところでも分別をするだけですごくかんきょうにもいいことになるんだなと思いました "


「ひとの心を動かす」力、それこそが感情の力であり、想いの力なのです。
そして、この感情の力や想いの力を生み出す仕掛けについて学ぶこと、それが
アプライドドラマ(演劇的手法)であり、アートベースメソッド(アート手法)なのです。


ドラマには、心を整え 癒す力がある

別の例をご紹介しましょう。

それは、地方都市で開かれたアプライドドラマ講座でのことでした。

オスカー・ワイルドが書いた童話「わがままな巨人(Selfish Giants)」を使って、アプライドドラマにしました。

ウオーミング・アップは、「巨人になって歩いてみよう」、「二人の巨人が200年ぶりに出会う場面を演じてみよう」、などというものでした。そして、次第にこの物語世界の登場人物として、演じ、選択・行動し、話し合い、考えや想いを参加者同士シェアしました。

このアプライドドラマの最後には、「子供たちと幸せに時を過ごした巨人の死」が描かれていました。
死んだ巨人の体一面に、美しい白い花が咲き、まるで小高い丘のようになっています。小高い丘一面を覆う白いお花畑。そのお花畑の上で子供たちが遊んでいます。そんな光景がこのアプライドドラマの最後です。参加者全員に、白いお花が一面に咲く小高い丘になってもらいました。その巨人の亡骸の上でたくさんの子供たちが遊んでいる風景を、参加者に実際に演じて、体感してもらったのです。
すると、身体の芯から、得も言われぬ幸福感が湧き起こって来たのです。

「こんな死に方なら、死ぬのも悪くない」

参加者は、そんな風に言い始めました。そして参加者は各々とても満ち足りた幸福感に満たされました。

このワークショップの最後に、きょう一日のシェアリングをしました。すると、自己肯定感や自分への信頼や自信が、とても回復されていた、とても心が癒されたという感想が相次いだのです。

昨年、一昨年そして今年と、日本心理劇学会やドラマ・セラピー講座に呼ばれて、ワークショップをやらせていただきました。アプライドドラマには、「心を整え、心を癒し、自己肯定感や自信を回復し、自己実現力を育む」そんな力があるようなのです。それは、アプライドドラマそのものが持つ力、自分の現実とドラマ世界を繋ぐ力、そしてドラマが持つ「人の心を動かす力」、そんなアプライドドラマが持つ力が、私たちに働きかけているのだと思います。

心を整え、心を癒し、自己肯定感や自信を回復してくれる。
自己実現する自分の、背中を押してくれる力。
自分の日常とドラマ世界を掛け橋して
「ひとの心を動かす感情の力」に気づき、その力の活用を学ばせてくれる

それが「アプライドドラマ研究会プラクティショナー養成講座」なのではないか、そう思えて来るのです。

オーハシヨースケ

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プラクティショナー養成講座は、こんなにニーズに応えてきました。

◉ 小学校、中学校、高校・大学の授業に演劇的手法を取り入れたい。
◉ 企業研修にドラマやアートを応用したイノベーション手法を取り入れたい。
◉ 乳幼児教育にドラマあそびを取り入れたい。
◉ 地域コミュニテイの復興に、オープンな対話の場創り、地域活力をアップをしたい。
◉ 個人としての自己実現力を身につけたい

   

この講座では、こんな学びが身に着きます。

✅プラクティショナーの基礎力(ファシリテーション力/アクティング力/ナレーション力)
✅アプライドドラマ創作力 (タスク作り力/場づくり力)
✅アートベースメソッド(身体知・IMBODIMENTとアートベース手法)
✅メンタルアクティング力(アクティングとメンタルトレーニングを合わせた力)
✅EQ理論とEQコーチング(米国心理学学会公認BレベルSEIEQ検査アセっサーとして)


導く講師は、オーハシヨースケ

アプライドドラマ研究会にて

オーハシヨースケ [演劇家・表現教育家]

身体知(インボデイメント)に根差した身体表現「身体詩」のパフォーマーとして世界24か国50都市で公演。第7回カイロ国際実験演劇祭BEST ACTOR AWARD受賞。2001年国際交流基金フェローシップでベルギー留学(俳優教育)。2006年文化庁新進芸術海外派遣でイギリス・チェスター大学でアプライドドラマを共同研究。2015年からチェスター大学芸術教育センター(RECAP)の客員研究員としてアプライドドラマの日本での普及活動を行う。特に2013年から東日本大震災後の原発事故被災で苦しむ南相馬市の「心の復興、コミュニテイ再生」のアプライドドラマ活動を今日まで継続中。今までに1万人以上を指導。現在、俳優教育専門学校で30年以上独自の「メンタルアクテイング」講師をし、大学(大阪公立大学大学院、立命館大学、文教大学、鶴見大学)でアプライドドラマの特別講師として教壇に立っています。



養成講座修了後の活躍・実践の場

🔷  月1回開催の川崎アートセンターでアプライドドラマシアターでプラクティショナーとして実践デビュー

🔷養成講座で創作した作品を世界的に活躍するアプライドドラマの第一人者アレン・オーエンズ博士&ナオミ・グリーン女史にコメントをもらう特別セッションに参加

🔷その他、オーハシが講師をする小学校、中学校などの授業見学や市民劇団ワークショップ等への参加  など


百聞は一見に如かず!まずはアプライドドラマを体験してみよう!!

アプライドドラマは、作品のストーリーに沿ってワークが進行し、参加者はときにものがたりの登場人物になってみて行動し、それを「やってみてどう感じたか」の感想をシェアしたり、意見を交換したりする【参加型のドラマワークショップ】なので、実際に体験してみるのが一番。
7/9(日)から始まるStep1は、どなたでも参加できる体験会がメインですので、この機会に是非ご参加ください。




下記のHPには、講座の内容も詳しく載せていますのでご覧ください。

みなさまのお申込み、お待ちしております。



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