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口伝えを語るということ その2

本番の時の写真を見ていると、あらためて気づいたことがありました。
そのことについて書いてみます。


同じ空間にいると、人が何を言ったか、と同じくらい
どんなふうに居るか、ということも重要だと思うのです。

舞台上では語っていようといまいと、観客はその全てを見ています。

ちょっとした所作や目線にそれらが現れてしまいます。


阪急梅田で行われたアイヌの朗読劇は場所の制限があったために、わたしは舞台の端にずっと出ずっぱりで観客席からは演者を確認できませんでした。
今回、文章を書くためにあらためて企画者、本宮氷さんの撮ってくれた本番の写真を見ると、語っていない人の姿にも強く魅入られました。

劇というと、発している演技、表現、所作にどうしても目が行きがちですが、それは、受け手があってこそなんですね。
どんなに奇抜なことをしても、同じ空間に居て、にこやかにうなずいたり、見守ったり、聞いたりして受け止めている存在がいることで表現が浮き上がってしまわないのだな、写真を見ているとそんなことにも気づきました。

それは舞台だけでなくコミュニケーション全般にも言えることだと思います。

語る上でわたしがすごく大切にしてることがあります。
それは、語っていない時。

聞き手の居かたこそが対話の空気感をつくってしまう。

阪急のアイヌの朗読劇では、表現もさることながら、それぞれが聞く器として存在してくれていました。

1番手前と1番奥で聴いているまなざし
おー!やっとるな!って感じで見てくれてる
左右のエネルギーを体幹で受け止めてる
だから両側が思いきりできる
じっと耳をかたむける
そしてかみしめる
うしろで我が事のように見守っている
1番後ろで支えてる
後ろ姿でもわかる
手をたたく
一方、自分が発して聴かせる姿を見せる朗読もある
ためてためて〜
出す!
出す!
出ちゃう!

語るとは、まことに受けとめがあってこそなのですね!
そんなことを皆さんから教えられた3日間でした!!

あー、しんどかったけど、おもしろかった!

岩橋由梨

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