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『ぼくときみとのことを』

 すいません、投稿頻度を増やしますと述べてから一切の投稿をしていません。言い訳はいろいろあるけれど、ボクはnoteに対してはあまり筆まめじゃないみたい。
 もう少し筆まめになりたいな、とは思っています。頑張ります。

 エッセイとか、そういうものを書けていないのは、常々気づきの少ない鈍いやつとして生きているからかな、と思います。ただ、作品を作っていないわけではないです。色々な考えの中、事情の中、意図的に投稿していません。
 でも、それじゃあ触れられない言葉たちがあって、とてもはがゆいので時々放出します。おめでとう、今日もその「時々」です。とある賞レースで静かに溶け落ちていった言葉の中の、夏の話を組み直しました。


ぼくときみとのことを

はつなつのメローイエローよろしくはじける蒼い星々
嘘だよバーカとはじまるメッセージから涼風しずかに
溶け出してゆく夏雲(輪郭は水平なわたし)
そうだね点Aを中心に並ぶひまわりはぼくたち
メロディはわたしは蝉はすっからかん
だからって止まらない水しぶきと生きている
そうでしょ?と言うぼくを笑って旱の中
夏風邪ごといま潤っていくすべてだ
しゃばしゃばなカレー サマードレスに風
金魚鉢越しに透き通って見られる
嫌じゃなかったし、お祭りの手が脳裏ぐるぐる
簡単じゃなくて朝顔市の心の中
夏シャツも人もじめじめした時間
玉ねぎで泣いて魯肉飯はすぐ冷める
アイリスを眺めて狭い空の下
感情の擬音が高い滝とからむ
わたしたち、自由だね。それから、絡まっていて……うん。八月だね。
火を見ている 十分ほどの静かな蚊帳のむこう
蛾が舞ってぼくたち薪みたいに寄り添った
明け終えればまたはじめましてのダリアなんだね
いいよ、ごめんね。無力がふたつ薄衣に包まれる
からっぽのままでめざめるあさぐもり
さあ読了せよとクーラーにさらされる太宰

『ぼくときみとのことを』©︎Kaname Tamura 2022

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