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海外旅行先で病院に行ってみることにした。

ハンドメイド作家のPlava Stabloです。

私は今まで50回以上は確実に海外旅行に行っていますが、海外旅行先で病院に行ったのは一度しかありません。

ことの発端は、2018年9月から10月にかけて、インドのラダック地方と、パキスタンをメインに3週間ほどの予定で旅行に出かけていた時のことです。

今考えてみれば、ラダックとパキスタンを一度に回るなど、ステーキとウナギを一緒に食べるがごとく、胸やけしそうな旅程だったのですが、旅に出るまでは、そのこと自体はあまり気にしていませんでした。

一番気にしていたのが、ラダックが標高3,000mを超える高地に位置することによる、高山病の心配でした。

実は、同じ2018年2月から3月にかけて、ペルー・パラグアイ・ウルグアイ・アルゼンチン・チリを巡る南米旅に出かけた際、マチュピチュ遺跡に行く玄関口の街、インカ帝国の首都であったペルーのクスコに滞在したのですが、ここで高山病特有の息切れと頭痛に悩まされた経験があったのです。

クスコは3泊したのですが、一日は丸々マチュピチュ遺跡の見学ツアーに参加していたので、実質2日間の滞在だったということもあり、高地順応する間なく、クスコ滞在を終えた、という感じでした。

クスコの街は結構坂が多いので、それも正に頭痛のタネでした…

そんなわけで、インドのラダックはとにかく高地順応をきちんとしなくては、スケジュールに相当余裕を持たせたのです。

デリーから飛行機に乗り、朝にラダックの中心都市レーに着いて、午前中はホテルでゆっくり休み、あまりじっとしているのも、高地順応には向いていないので、午後は街中をぶらぶら歩いていました。アルコール類も全く飲まず、水分もしっかりとっていたおかげか、思った以上に調子がよく、翌日は、息も切れず、頭痛もせずに、少し高い場所へも歩いていくことができました。

それ以降は、個人で手配してもらったツアーであちこち回って、特に具合も悪くならず、食事も普通に摂って、レー滞在最終日になぜかストライキでレーのすべてのお店が閉まってしまうというハプニングを除けば、充実したラダック滞在になりました。

あれ、病院に行かなかったの?と思われた方、とりあえず、無事高山病は回避できたのです。まだ話しは続きます。

レーからデリーに戻り、今度はパキスタンに向かうため、デリーから列車でパンジャブ州のアムリトサルという街に出て、ここから陸路でパキスタンのラホールという街に移動しました。

何かと仲の悪いインドとパキスタンですが、外国人旅行者が普通に国境を越えられるのが、いわゆる「ワガボーダー」と言われるところです。

ここは、パキスタンのビザさえ持っていれば、とりあえず、何の問題もなく国境を越えて、インドとパキスタンの間を行き来できます。

無事、パキスタンに入国し、一旦ラホールを通過して、まずはラワルピンディ、イスラマバードを観光してきました。

特に風光明媚な場所として観光客に人気のある、北部のフンザ地方などはまた別でしょうが、少なくとも私の訪れた街は外国人観光客は皆無に近いので、どこを歩いても目立って大人気です。

ちょっとした観光スポットに行けば、「一緒に写真を撮ってくれ」と頼まれること確実です。

さて、ラワルピンディからラホールに戻った時に、私は体に異変を感じました。

パキスタン料理に腹を下した…わけではありません。

何故か、右の眼の見え方がおかしいのです。

視野の下の方が白く曇った感じで、はっきり見えないのです。

初めは、パキスタンの街のホコリにやられたかな、と思いました。何しろ、ラホールの街中は、排気ガスもすごいし、ホコリまみれでしたから。

ほっとけば治るだろう…と思っていたのですが、そのうち、白い雲がどんどん上がっていき、視野の半分以上がかすんで見えなくなってしまいました。

どうも、これはただ事ではないなあ…と思い始めたのですが、今いる場所はパキスタン。あと1週間もしないうちに日本に帰るし、帰国したらすぐに眼科医に行こう、と、その時は思っていたのです。

ラホールからまたワガボーダーを通過し、インドのアムリトサルに戻って、シーク教の聖地、黄金寺院を見学して、デリーに戻りました。

デリーのホテルにチェックインし、デリーで買い物でもして帰国しよう、と思ったのですが、やはり目のことが気になって、ネットで自分の症状を調べてみると、どうも網膜剥離か緑内障ぐらいしか見当たらず、どちらもほっておけない病気であることが分かりました。

そこで、これもいい経験だと思い(この時点ではまだ心に余裕があった)、すぐにネットで調べ、外務省HPで紹介されている眼科医院に行ってみることにしたのです。

海外旅行先で初めて行った、メトロの終点で日本人も多く住んでいる地区にあるその眼科医院には、専門の通訳(英語ですけど)もいて、担当の人に何とか四苦八苦して症状を伝えて、いろんな検査をしてもらいました。

最後に、お医者さんに眼底検査をしてもらったら、お医者さんはウンウン頷いて、手ぶり身振りを交えて病状を説明してくださいました。

「あなたの右目は網膜剥離です。すぐ手術が必要です。」

明日でも手術できるということで、一瞬、インドでの手術も頭をよぎりましたが、最低2週間はインドに滞在して経過観察が必要と聞き、インドに誰も知り合いがいない私にはリスクが大きいなあ…と感じたので、眼科医院に紹介してもらった、近くの総合病院にあるヘルプデスクに急いで行って、そこから日本の旅行保険会社に電話をしていろいろと相談しました。

最終的には、帰国を早めることに決め、ホテルに戻って、ネットでその日の深夜(約5時間後)に出る飛行機チケットを買って、ホテルもチェックアウトして、慌ただしく帰国の途につきました。

翌日昼間に日本に帰り、夕方に自宅近くの眼科医院に飛び込んで診てもらったら、やはりの網膜剥離で、結局その日の夜に、手術が出来る眼科医院で硝子体手術をしました。

あまりに慌ただしかったため、手術で眼球に器具を差しこむ恐怖心も起きなかったのですが、術後、生活上の制限が結構つらかったです。

私が手術を受けた眼科医院では、日帰り手術だったので、自宅療養でしたが、病院によっては2週間ほど入院するところもあるそうです。

網膜剥離って、よくボクシングの選手が目にパンチを受けてなる病気じゃないの?と思われるかもしれません。

私は特にスポーツはしないので、網膜剥離になるとは、本当に青天の霹靂でした。

私ぐらいの中年が網膜剥離になる原因として、強度の近視があるそうです。定期的な眼底検査は必要だと実感しました。

あと、海外旅行に行くときは、旅行保険は入っていたほうがいいですよ。

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