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強盗に遭ってしまったマダガスカル・半日滞在のセーシェル

ハンドメイド作家のPlava Stabloこと青木弘之です。

正直、今までどのくらい海外旅行に行っているか、自分でも良く把握していませんが、40歳代の10年パスポートで出国印を数えてみたことがあって、その時は40回海外脱出していました。当時勤めていた会社では、海外出張するような職場にはいなかったので、もちろん、すべてプライベートでの旅行です。

20・30歳代はよく分からずですが、25歳以降は毎年少なくとも一回以上は海外旅行に出かけ、50歳代は、今のところ10回以上旅行に出かけているので、まあ、ざっと見積もって、今まで海外旅行に行った回数は70~80回くらいではないかと思います。

そんな海外旅行の中で、私が唯一犯罪に巻き込まれたのが、2016年6月に出かけたマダガスカルでした。

その時は、前月にバルト三国に旅行していて、ちょうど日の長い時期であったため、夜遅くまで普通に街歩きを楽しんだ余韻がまだ残っていて、気分も高揚していた状態だったと思います。

途中、トランジットで立ち寄ったUAEのドバイが、ちょうどラマダンの時期に重なってしまい、日中は表立って飲み食いができないつらさはありましたが、まあ何とか無事に最終目的地のマダガスカルの首都アンタナナリボの空港までたどり着くことができ、エアポートシャトルバスで、アンタナナリボの中心部に入りました。

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到着した日は、ちょうど独立記念日の祝日で、アンタナナリボのメインストリートである独立大通りも、移動遊園地など出ていて、とても賑やかでした。

一旦ホテルにスーツケースを置いたあと、まだ明るかったので、デイバッグを持って、独立大通りをぶらぶらしながら写真を撮っていたところ、なぜか地元の人に英語で声をかけられました。

どうも、今日は祝日ということもあって人もたくさんいるので、持っている荷物には気をつけた方がいい、ということを親切に忠告してくれたようなのです。

普段からデイバッグは背負わずに、手前に抱えるようには持っていましたが、確かにその通り、とさらに用心して抱えるようにしていました。

ガイドブックにも、夜のアンタナナリボは危ないので、移動にはタクシーを使うように書いてあって、暗くなる前にホテルに戻ろうと思っていたのですが、ふらふらしている間に辺りが暗くなってしまいました。

6月下旬のアンタナナリボでも、夜7時まえにはほぼ日が落ちてしまい、おまけに、メインストリートでも街灯がまばらで、ホテルに戻らなきゃ…と帰り道を急いでいたところで、突然背後から首にロックをかけられました。

あまりに突然だったので、何なんだ???と思っていると、前から別の男が近づいてきて、私の抱えているデイバッグをひったくっていくではありませんか!!!

首も腕も完全にロックされてしまっているので、抵抗も出来ず、声もだせず、犯人の顔も暗くて(その上黒くて)見えず、解放されたときは既にどこかに逃げてしまいました。

デイバッグには、カメラの他、パスポートや携帯電話、ガイドブックやお金も入っていたので、スーツケースに入った着替え以外は、ほとんど全財産取られてしまったことになります。

ただ、不幸中の幸いだったのが、ズボンのポケットに入っていた財布は無事だったことです。ここには少額のお金の他、クレジットカードや運転免許証が入っていたので、これまで盗られたら目も当てられませんでした…

ここで私が大声を出すと、早速周りの人が寄ってきて、とりあえず警察に行こう、ということになりました。近くにいた警察官に事情を説明してくれて、人生初めて外国の警察署のお世話になることになりました。

マダガスカルはフランスの植民地だったこともあり、英語よりフランス語の方が一般的なのですが、担当してくれた刑事の方は、片言ながら英語を話すことができたので、まずは明日事情を聴くことにして、この晩はホテルまでの帰り道を付き添ってもらいました。

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宿泊しているホテルで事情を説明したところ、まずは日本大使館に連絡しようということで、ガイドブックも盗られてしまい、緊急連絡先も分からないところ、ホテルの人がいろんな人に電話をしてくれて、そこから大使館員の知り合いの人に連絡がつき、その日の晩のうちに日本大使館の職員と連絡を取ることが出来ました。

翌日は日曜日で、通常なら大使館はお休みなのですが、この時ちょうど日本が選挙期間中で、在外投票のため大使館が開いているということで、警察で盗難証明書を発行してもらったら大使館に来てください、との約束を取り付けることができました。

被害を受けた当初は、この先旅行はどうしようか…と落ち込みましたが、この時点ではもう落ち着いていて、何とか無事に帰国することだけ考えていました。でも、帰国まではまだ一週間以上あったのですけど…

翌日曜日は、まず警察署で昨日の刑事さんに盗難証明書を書いてもらい、その後ATMでキャッシングして現地通貨を手に入れ、タクシーで日本大使館に行きました。

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マダガスカルの日本大使館はアンタナナリボの中心からは少し離れた郊外にあって、大きな鉄の門で閉ざされた、要塞みたいなところでした。受付で話をして、昨日電話をした大使館員の方を呼び出してもらい、無事大使館の中に入って、諸手続きをすることになりました。

まずは、盗られたパスポートの失効手続きがあって、これは幸い身分証明できる運転免許証があったので、すんなり終わりました。

問題は、帰国するための書類なのですが、パスポート再発行には時間がかかるため、「帰国のための渡航書」というパスポート代わりの証明書を発行してもらいました。

ただし、これを発行するためには、顔写真のほかに戸籍謄本が必要になるのです…

※外務省のHPを見ると、2020年現在、「帰国のための渡航書」を発行してもらうには、戸籍謄本・抄本以外でも、日本国籍を確認できる書類(運転免許証や住民票など)でも良いようです。

大使館員の方曰く、まずは顔写真を撮ってきてください、ということで、スピード写真が撮れるショッピングセンターの大体の場所を教えてもらったのですが、近いんだろうと思って歩いていったら、これが思い切り遠かった…30分以上かかりました。いくら歩いてもつかないので、道を間違えたのかと思って、一度引き返して、大使館の方に聞き直したくらいですから。

ショッピングセンターは、アンタナナリボの中心部にあるような商店とは打って変わった近代的な内装で、写真の撮影と合わせて、連絡用の携帯電話も合わせて購入しました。ちなみに、マダガスカルでは、携帯電話やSIMはパスポートがあれば外国人でも購入可能です。私の場合、パスポートがなかったので、ちょっと購入には苦労しましたが、盗難証明書で代用できました。

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大使館に戻って、問題の戸籍謄本の件ですが、これだけはどうしようもないので、日本にいる家族に連絡して、役所で謄本を取ってきてもらって、コピーイメージを大使館にメールしてもらうことにしました。ちなみに、謄本の原本は、大使館に送付する必要がありましたので、帰国後に大枚はたいてEMSで送付しました。

無事、帰国のための渡航書を発行してもらったあとは、ひたすら帰国の日まで、アンタナナリボの街をぶらついていました。海外からの旅行者は皆無に等しく、とても目立つのですが、暗くなる前にはホテルに戻っていましたし、手元にはスーパーで買ったエコバッグにボールペンとメモ帳と安い携帯電話しか入っていないので、そもそも強盗も近寄ってきません…

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昼食は毎日、独立大通りで見つけたこ洒落た食堂で、のんびり食べていました。

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アンタナナリボの街のスナップ写真は、結局携帯電話のカメラで撮っていたのですが、小さいので目立たないのはいいものの(街中の風景を撮るつもりでカメラを向けても、気づいて嫌がる人もいる)、あまりに画質が粗すぎて、結局は豆本サイズまで縮小して何とか我慢できるかなあ…といった感じでした。

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でも、よくよく考えてみたら、これくらいの質素な持ち物でも、普段の街歩きには何の支障もないんだなあ…と気づかされました。

豆本作りに必要なマダガスカルの布は、現地で「ランバ」と呼ばれ、東アフリカでは「カンガ」の名で知られる布と同じようなものです。ランバはアナラケリーマーケットという市場の中で売られていました。ここは地元民御用達の市場で、内部も混沌としていて、外国人観光客も近寄りづらい場所だろうなあ…と思いました。まあ、お店の人はとてもフレンドリーでしたけど。

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何とか帰国の日まで耐え、いよいよマダガスカルからの帰り、アンタナナリボの空港では、パスポートではない書類を見た出国審査官が、いろいろ難癖付けてきてムカつきましたが、ここでキレたら日本に帰れない…と我慢して、無事帰りの飛行機に乗れました。

途中、トランジットで立ち寄ったセーシェルでも、マダガスカルの大使館の方に、パスポートではないので、もしかしたら入国できないかもしれない…と言われていたので緊張しましたが、事前のホテル予約書が効いたのか、なんとか一泊滞在の入国許可が下りました。

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セーシェルは、実質半日で、かつ首都のヴィクトリアだけの滞在したが、なかなか訪れる機会のない国だと思うので、とても貴重な体験でした。

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セーシェルはリゾート地なので、一応お土産屋さんもたくさんあって、セーシェル製かは微妙ですが、豆本の表紙に使えそうな、セーシェルの文字の入ったパレオを入手しました。

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マダガスカルはまたいつか訪れてみたいと思っていますが、まずは手元にある素材を使って豆本を仕上げております。自分で言うのも何ですが、マダガスカルもセーシェルも、なかなか日本人には珍しい国だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。





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