見出し画像

父、ひょっとして認知症かもしれない

ああ、しんどい……。実家は、とてもしんどい。
中学生の頃からずっと抱いていた、実家に対する違和感。
それでも大学生までは親の庇護下にあったので我慢していた。
社会人になると、激務の仕事、一人暮らし、そして家庭をもつなどの
一連の「自立」により、そのしんどい思いをもつことは極力避けらていた。
しんどい理由、それは親の「クレクレ要求」が強いから。

「どうしてあたしのことを大切にしてくれないの」
「もっと会いにきてよ」「どっかつれていってよ」
という母の要求。
さらには、父の
「お母さんがうるさいから、なんとかしろよ」
「こどもは親のいうことを聞くべきだ」
「俺は給与を全額親に渡していたんだ。渡さないお前はおかしい」
っていう「くれくれ」圧力。

「どうして言われるがままに、親へのサービスをしなければいけないのか」と反抗したところで、

「家族」なんだから
「親」なんだから
という無言の鎖で縛り付けられた。

だから、年に2回会いにいくのでさえ心の準備が必要。
仮に行くならば、なるべく早く実家を去るようにしていた。

だが、2017年3月末。
甥が大学に合格した。さすがにこれは祝いの席を設けなければなかろうということで、10年振りぐらいに家族が集まった。

この日もなるべく早くかえろうと、ご飯も食べ宴も終わりそうなときにその言葉が父からでた。

「あれ、俺ご飯食べたっけ?」

常日頃無口である父が、ご飯を食べ終わったあとにもかかわらずその言葉を発した。
「ご飯を食べたのに、食べていない」ドラマや、ネットの口コミで聞いている
認知症の特有の症状のひとつとしてこの言葉を聞いたことを思い出した。

ひょっとして、父は認知症か?

思い返せば、2月末に変な電話が母からあった。
父が母に対して「プリンタのインクを勝手に売ってしまった」と
難癖をつけたというのだ。

多額の医療のために、裕福というよりギリギリの生活が長年続いていたので、
「ものを売る」ということはなきにしもあらずだと思った。

でも、プリンタのインクはまずないだろう。消耗品だし、家にあるプリンタは、
かなり古い機種だ。売るといったところで、売れるはずはない。

その行動を思い出したわたしは、その夜に姉と兄にメッセージを出した。
父が認知症かもしれない、と。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?