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円周率は3.16⁉古代エジプトの不思議な数学の世界〜 「河江肖剰の古代エジプト」より


はじめに

皆さんは、古代エジプトと円周率πが深く関連していることをご存知でしょうか?エジプトの偉大なピラミッドの中には、未解明な謎が多数隠されています。その中には、円周率πが含まれているという驚きの事実もあります。今回はそんな古代エジプトの数学について解説したいと思います。

今回の記事の内容はこちらの動画でも詳しく解説されていますので、興味を持たれた方はぜひご視聴ください。

エジプト人の円周率に対する理解

エジプト人は、円周率を「3.16049...」という値で理解していました。これは、我々が通常認識している「3.141592...」と非常に近い値です。しかし、エジプト人は「0」や小数点の概念を持たず、一見奇妙に思えるこの値をどのようにして見つけ出したのでしょうか?

古代エジプトの円周率は現代の円周率と非常に近い値だった

エジプトの数学:一見奇妙な表現方法

エジプトの数学は、我々が通常認識する数学とは異なる独特の表現法を用いています。分数は単位分数(分子が1で分母が自然数)の形で表現され、2/3のような分数も特例として使用されていました。これらの表現法は、リンド数学パピルスという約3500年前の古代エジプトの数学の問題集にも記されています。

古代エジプトの数学の問題集「リンド数学パピルス」

円の面積を求める古代エジプトの方法

リンド数学パピルスには、円の面積の求め方も記されています。エジプト人は、直径が9の円の面積と、一辺が9の正方形に内接する八角形の面積が似ていると考え、その結果を円の面積として用いました。そして、八角形の面積が64(8の2乗)になるように1を足すという調整を行いました。結果として得られる円の面積の公式は、「直径の8/9を二乗したもの」になります。

現代の感覚ではなかなか理解しえない古代エジプトの円の面積の求め方

πを求める古代エジプトの手法

エジプト人がこの公式を用いることで、円の面積を現代の公式「半径×半径×π」の形に換算することができ、円周率πが「3.16049...」と求められます。これは、エジプト人が直感と経験から得た知識を数学に取り入れた結果で、彼らの直感的な思考と数学的な洞察力を見事に示しています。

画像は現代の公式に当てはめて古代エジプトの円周率を求めたもの

さいごに

古代エジプト人の直感的な思考と数学的な洞察力は、現代の我々が数学を理解する上でも非常に重要な視点を提供します。直感と経験に基づいて得られた知識は、科学的な知識だけでは得られない深い洞察を与え、問題解決に新たなアプローチをもたらします。

古代エジプトの数学と円周率についてより詳しい解説が見たい方は、こちらの河江肖剰先生の動画「【解説】古代エジプトの円周率は3.16?3千年前の数学問題」をご覧ください。今回学んだ内容を、より深く理解することができるでしょう。

河江 肖剰(かわえ ゆきのり)
エジプト考古学者/名古屋大学高等研究院准教授/米ナショナルジオグラフィック協会のエクスプローラー。19歳でエジプトに渡り、1992年から2008年までカイロ在住。カイロ・アメリカン大学エジプト学科を卒業後、名古屋大学で歴史学の博士号を取得。ピラミッド研究の第一人者であるアメリカ人考古学者マーク・レーナー博士のチームに参画し、ギザの発掘調査に10年以上従事。2016年ナショナルジオグラフィック協会のエマージング・エクスプローラーに選出。ピラミッドの3D計測など、最新技術を用いた斬新なアプローチでエジプト文明の研究調査に取り組んでいる。

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