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偶然の一致

楽と言うよりは、どちらかと言うと過酷寄りの仕事を楽しいと言うのも何だが、初めての単発派遣は楽しかった。要するにアルバイトである。

味をしめてまた申し込みをしていると、Kちゃんが「もう、そんなに働くの?」と言う。

彼女の場合は退職後すぐに正社員としての就活をし、既に次に勤める施設が決定していた。私と違って堅実なのである。迷わず正社員の道を選ぶあたりが。

しかし、有休消化中なので、正社員なら実際に就業するのは有休が消化された来月の半ば頃、正式に退職した後の話。

「Ohzaちゃんが家に居ないんじゃあ、休んでいてもつまんないなあ。私もそれまで単発派遣に行こうかな?」と言って、そのあとすぐ2か所の施設へ行った。
看護師・介護福祉士は、人員が不足し過ぎているせいなのか、おそらく比較的簡単に申し込めるのだろう。

そして、後日よくよく話を聴いてみると、Kちゃんが行った1施設が何と偶然にも私が行ったばかりのところだった。不思議だなあと思う。募集をかけている施設なんてこの近隣だけでも山ほど存在しているのに。

単発で初めての場所だったというのに、二人とも目についたポイントが同じで、ちょっと面白かった。

どんな施設にも良いところと悪いところがあるのだが、それは行ってみないと分からないこと。

で、これは悪いところ。
その施設は絶望的に人が少なく、オムツのあて方が汚かった。入居しているご老人たちの1日の水分摂取量が、先日まで勤めていた施設の半分以下だった。

有料老人ホームだったのだが、これだったら全然特養の方が良い。この環境とこのケアに高いお金を払っているのだとしたら、本人もご家族様も本当に気の毒だなあ・・・と色々思うのだが、もしかしたらどこもこんな感じなのかも知れない。

しかし、派遣で、しかも一日だけ行くところを改善させることなど出来ない。こんなこと言われても先方がムッとするだけだろう。

あとは遭遇した介護士さんや看護師さんたちの話、裏口に喫煙所がかろうじてあった話、その他諸々で盛り上がった。

一緒に働けなくなったことを残念に思っていたので、見てきたこと、感じて来たことが分かるというのは、やっぱり良いなあと感じた。

ところで、二人の関係性が変わってしまうのではないか?それは仕方がないことだけど、寂しいなあと思っていたが、それに対しては「何言ってんの?」と言われた。「普通は皆さん、職場も家庭も一緒だと息が詰まるって言う人の方が多いんだよ。」とのこと。
なるほど。そういう考え方もあるのか。

そうするとこれからは、もしかして、別々の場所で観て来たことなど、余計に話題が増えるのかも知れない。
そう言えば元々職種も違うのだった。だからこそ、沢山話すことがあったのかも知れない。

あと10日後、比較的長期契約の場所へ派遣ナースとして就業するのだが、少し気持ちが不安定で色々なことを考えてしまう時があるなーと、自分が言った言葉を自分の耳で聴いて感じていた。

でも、確かに感じているこの心と身体の自由さ。

大きな期待はしていないのだけど、また色々な場所、色々な人との出会いがあることは確かだ。

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