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モンスターと呼ばれたナース

週明け月曜日から多少の大騒ぎだった。比較的最近入職した介護職員さん一人と他一人が欠勤だったから。

一人はぎっくり腰で一人はワクチンの副反応で高熱。

長年勤めている介護職員のHおばさんは入浴場へ入る。休んだ人たちの主な仕事が入浴場だったからだ。

入浴場と医務室が近いので、私は入浴介助の外回りと看護の仕事の両方に専念することが出来る。

今週の往診の準備も粗方終了していたというのもある。もしも突発的に入って来た看護の仕事も耳で拾える。

脱がせたり着せたり薬塗ったり、誘導したり連れて帰ったり。

『そろそろ(お風呂から)あがるかな?』というタイミングで次の人を連れて来たり、人によって使う薬を準備したりする。
そのうちしびれを切らして入浴場に入って行き力仕事にも手を出すようになった。

いつも批判的に見たり、いちいちいちゃもんつけたりするナースさんは近寄って来なかった。何故ならばちょっとでもゲームをしかけに来ようものなら『暇なの?じゃ、早くこの人に靴下履かせて差し上げて』と私に言われるからだ。

あとは『こちらの手伝いをやっているせいで、何かやっていないことがありますか?あったら言ってね?すぐそっちに戻るから。』と看護業務についても言われるからだ。(あるわけなかろう。)

その翌日。またしても同じ理由で欠員が出た。

皆さんパニックになっていたり怒る人が居たり、喧々囂々。昨日と同じやん。

私は沈黙していたが、介護のHおばちゃんが出勤して来るなり『Hさん。おはよう。』と声をかけた。君を待っていたよ。云十年前からここの利用者さんたちを知るあなたのことを。昨日も突発的な入浴係、通称”中介”に対応してくれた。

私は彼女に『Hさん。今日も大変です。』と事情を説明せず、ただそれだけを言った。

彼女は『わかった!』とだけ答え、即座に計画して業務に入った。

そしてこの日も医務室兼外介に勤しんだ。さらには中介にまで介入させてもらった。

ただそれだけの話なのだが、この二日間を終えて凄く勉強になった。だいたいどこの施設でも高齢者のお風呂流れというのはあまり変わりないのだが、これまではお風呂上りの処置をする人にしか携わって来なかったからだ。

あと、何か不足の事態が起きたとき、誰が愚痴や怒りを並べ立てて動かないのか?誰が事を進めようとするのか?とか、その反応の仕方も伺えた。全員のそれが見えた。(だいたい普段のイメージと変わりなかった)

それはともかく、無事にこの欠員パニックの二日間を終えたのだ。倒れた人々も復帰して帰って来るし、私は色々勉強させて貰った。高齢者の方々がお風呂に入れないということもなかった。

昨日の帰り際、Hおばちゃんに『もう、ありがとう。あなたにはビックリよ。身体痛いところあるんじゃないの?』と言われたが「にゃいっ!」と答えた。

今朝も筋肉痛にはなっていない。

ただ、朝起きたら9時で、驚愕したというただそれだけだ。ものすごく良く寝た。

今日が休みで良かった。

つくづくHおばちゃんを初めとする介護職員さんの日々の仕事に頭が下がる今日この頃。

そこへラインが入る。『身体大丈夫?腰痛くない?』

痛くにゃい!

さて。今日はマツエク付けに行こう。

『やっぱ、ばけもんだ。』

違います。中年の筋肉痛は、もっと後から来るのです。

多分明日は、ここに『あー、身体痛い、あー、痛い。』ということを大袈裟かつ詳細に愚痴るのだと思う。

よくこのnote読んで下さる人がいるなという感謝の思いで頭が下がるのも今日この頃である。

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