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唯一無二という話

休日にPCの前で資料をまとめていると、今しがた目を覚ましたブルーノが『ぴー!』とか『ぴゃー!』と言いながら私の身体に登って来る。そう、まだ幼過ぎて『にゃー』と鳴けないのかも知れない。それもあるが、半ば悲鳴のような金切り声をあげて「どこ?!どこ?!」と探すように登って来るのだ。

その後、胸や首筋あたりで30分ほどフミフミをしている。息遣いが荒い。チューチューとTシャツの肩のところを必死で吸っている。
この状況になると、少し申し訳なくなる。
生まれたての頃、母猫のおっぱいを飲んでいるときの仕草。
不安になって安心感を得るためにやっているようだ。初めての爪切りの時もめいいっぱい騒いだ後、解放されたというのに、すぐに逃げずにフミフミ&チューチュー。

人間、つまりは私もその一人。引き離してしまったのだなあ、唯一無二のお母さんと。
30分くらいそれをやられると汗だくになるのだけど、我慢して背中をさすったり、求められればチュッ!とする。

その後は、また眠るか、もしくはいつもの手のつけられない暴れん坊に戻る。そう、さっきまでのちょっと可愛そうな雰囲気が嘘のように色んなものを陽気に破壊しまくってくれるので叱るわけだが、内心ほっとしている。元気に戻ったな、もう『ぴー!』と悲しげな声をあげていないなと。

ブランカは、もう孤独な夜の遠吠えをしなくなった。

彼女のストレスになっている可能性がゼロではないが、上手に昼寝したり自分だけの場所を確保して、その気になればレスリングまがいのことをして遊んでいる。

親も子も家族も代わりは居ない。
けれども彼女と彼を見ていると思う。それと同じくらいの大きな意味でブルーノにとってのブランカは一匹しかいなくて、私やKちゃんも一人づつしかいない。
申し訳なさは申し訳なさで放っておいて、楽しく暮らして行こう。

一日一日を大切に。

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