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あなたに出会えるかも知れない

夏の頃、通勤途中で長毛種の猫ちゃんが駆け寄って来るようになった。『こっちだよ、こっち!』と案内されてついて行くと、猫ちゃんご自身のおうちだった。何のご商売をなさっているのかよく分からない店構えのおうちがこの街には多い。

シャッターが半分しまったおうちの入り口へいつもその子は帰って行く。時折、猛スピードで走って来ておうちへ入って行くので何者かに追われたか?と思うのだが、不思議でない。

この辺りは外出する家猫さんも野良猫さんも比較的多い地域なのだ。

切望していたKちゃんにも遭わせることが出来て「ねえ、頼むよ。Kちゃんにも触らせてあげておくれよ。」と言うと、そっと近づいて、そのフワフワの身体を撫でさせてくれたりもした。

Kちゃんはやたらと犬に好かれるのだが、猫さん相手では今一つなのだ。
何故だろう?犬はこんなにたかるのに。

私は、この時、一匹だけのワンちゃんに執拗に懐かれた。やはり犬でも人間でもマニアックな子がいるのだな。
ところが、同じく通勤の道、ある日の深夜に、初めて出会った猫がKちゃんのみにまとわりついて来る事件というのがあった。この子はほぼ確実に野良ちゃんだった。

あまりに動きが早いのでぶれているが、とにかくKちゃんに出会えたことを喜んでいた。



まあ、とにかくKちゃんの周りだけをグルグル回りスリスリしていた。茫然とするKちゃん。『猫の方から来てくれたのは初めてだ。』と。

その話とは別に二つほど前の季節からKちゃんの娘さんが、私とKちゃん二人のこの家で猫を飼いたいと言い出した。
『毎日学校帰りに寄って世話するからさあ!』

親であるKちゃんは、動物を買うと言うのは並大抵のことではない!ということを何度も言って聞かせたが、それでも!というので動物一匹を幸せに過ごして貰うのに何が必要か?ということを何か月にも渡って質疑応答していた。面白い親子だな。

そこに来て、この猫懐き事件だったもので。

今度いよいよ保護猫の会に行こうと言うではないか。

困ったな。

私は幼い頃から犬や猫と共に暮らして来たけれど、そのほとんどのケースが、向こうからやって来て住み着いたというパターンしかないんだ。
一番最近では10年ほど前に、私のカウンセリング事務所に現れて住み着いた白ちゃんが最後。

それ以来、訪ねて来た子が居ないので共に暮らしてはいない。動物は好きだけど対象をこちらから選ぶということにおこがましさを感じる。

いや、しかし、娘ちゃんが選んでうちで飼うわけか。別に私が選ぶわけじゃない。

いちおう3年ほど前に購入したこのマンションは動物可で、しかも、その大きさを問わないとか非常にアバウトが規約があるので問題はないだろう。

動物が居なくても幸せではあるが、やはり可愛いゲストが増える可能性があるというのを聴くと心が浮き立つ。

良い出会いがあると良いな。

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